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階段から転落して思い出しました!89歳まで生きた私、今度の人生は異世界で半島領の次女です  作者:


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極秘実験・想定外の成功、そして“線を越えた日”

領主館の地下。

普段はただの物置に過ぎないその場所は、この日、完全に隔離されていた。


近衛が扉の前に立ち、通路の先には誰一人通さない。集められた顔ぶれは会議と同じ。


だが、空気が違った。


「……始める」


領主の声は低く、しかし迷いがなかった。


机の上には容器が並ぶ。

黄色い塊、白い粉末、乾いた土のようなもの。


「回収は、精度を上げました」


学術員が報告する。


「発生源ごとに分類し、混入物を極力排除しています」


錬金術師ブルーが続いた。


「完全ではありません。ですが……“安定しています”」


その一言で、全員が息を呑んだ。


「安定、だと?」


「はい。同条件下で、ほぼ同じ反応を示しています」


それは――

再現性が生まれた、という意味だった。


誰も、軽口を叩かない。


「試作品は……こちらです」


鍛治士タルトが布を外す。


形状は、内部構造は。。


「構造を“単純に”しました。余計な要素を削ぎ落としています」


「……やるのか?」


近衛隊長が確認する。


「領主の判断だ」


全員の視線が、領主に集まる。


彼は、短く頷いた。



実験場は、外れの土地。周囲に人影はなく、退路も確保。


「点火」


合図と同時に、全員が距離を取る。


――次の瞬間。


乾いた衝撃音。


空気が、叩かれた。


的が弾け、一定の範囲が、明確に抉れた。


「……」


誰も、すぐには言葉を発せなかった。


破片の飛び方。

衝撃の向き。

音の抜け。


全てが――想定通り。


「成功……ですね」


ブルーの声は、震えていた。


「威力は制御範囲内。反応も安定しています」


「方向性も、一定だ」


近衛隊長が低く呟く。


「……兵器として、“成立している”」


その言葉が落ちた瞬間、空気が凍った。


領主は、しばらく沈黙した後、はっきりと告げた。


「“使えるからこそ”、今は使わないが。各種は原料はどれぐらい出来る?」


「恐らくですが1000発射分は」


続いて行われた部品試験でも、結果は同じだった。


「撃発自体は、成功しています」


タルトが報告する。


「ただし……量産は危険です。扱う者を選びます」


それはつまり。


訓練された兵が使えば、確実な力になる。


「日にどれぐらい作れる?」


「恐らく2〜3個分」


成功した。してしまった。



その夜。


機構隊長は、震える手で報告書を書いていた。


分類コード。


最初は、R。


だが、即座に線を引いた。


次に、R R。


それすら、躊躇いなく消す。


彼は、深く息を吸い――

封筒の中央に、はっきりと書いた。


R R R


――最高責任者のみ。

――即時対応案件。


内容は、極めて簡潔。


・新技術、実験成功

・再現性、制御性を確認

・軍事転用可能性、極めて高


最後に、一文。

※この判断が正しいかどうか、私には分かりません。早馬は、夜のうちに走った。


王都。

報告を読んだアグライアは――今回は、紅茶に手を伸ばさなかった。


「……ああ」


低く、呟く。


「 R R Rがあっさりと。。。越えたわね」


しばらく、沈黙。そして、ペンを取る。


当該技術は“登録可”

しかし記録は封印指定。

存続危機の場合、責任者の責任を持って製造可。


「……成功ってのはね」


誰にともなく。


「失敗より、ずっと怖いのよ」


同じ頃、領地では。

学校の校庭で、子供たちが走り回っていた。その声を聞きながら、領主は思う。


(これを守るためなら……)

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