牛乳への道と豚舎と突然始まる畜産会議!
「さて……ここから領地に必要なのって、何だろう?」
地図を見ながら腕を組む私。
木は増えた。
紙はある。
鉛筆もある。
鉄も見つかった。
工場も建てる。
食べ物も安定しつつある。
となると、残るは――
「家畜……かな?」
ピヨピヨ(鶏)は順調に増えている。
「ある程度、羽数が増えるまでは卵も取らずに増やすのを優先……これはこれで正解なんだけど……」
問題は、牛と豚だ。
「時間がかかるのよね……増やすの」
ピヨピヨは卵から孵化して成長も早いけど、
牛も豚も1匹の価値が重い。
「よし。畜産……始めますか!」
拳を軽く握る私。
すると後ろからガルドが小さくため息。
「……また新しい分野に手を」
「違うの!これは生活の基盤だから!今後の食卓に革命を起こすから!」
私は鼻息荒く続ける。
「牛が増えれば、牛乳が飲めるでしょ?」
「はぁ……まあ、そうですが」
「バターに、チーズ……飲むヨーグルト!」
「最後のはよくわかりませんが……」
ふふふ……。
私の前世知識、また火を吹くわよ……。
■計画開始!
「牛舎と豚舎を作ろう!」
「はいはい、また建築班の仕事が増えますね……」
「囲いも必要ね。畑とは別に広い放牧地を確保しないと」
「はい、地図に反映しておきます」
ガルド、仕事が増えて心が折れそうな声をしている。
■調達は――当然あの男
「ロウガさんに頼もう!」
「またですか……いやまあ、あの男の調達力なら……」
そう、調達といえばロウガである。
あの人は“欲しいものを持ってくる”才能がある。
(合法的にね……たぶん……)
「牛と豚を合わせて二十頭くらい? まあ均等に十頭ずつかな?」
私は軽く指を折る。
「子持ちの牛だと嬉しいわね。勢いが違うから」
「……あの、メイヤ様?」
「ん?」
「あなた……畜産の専門家でしたっけ?」
「イメージがあれば何とかなる!」
ガルドが天を仰いだ。
最近この人、空ばかり見てる気がする。
■そして――住民たちの家畜
「もう一つの方法!」
私は鉛筆を空中で振る。
「今、各家が飼っている家畜を……まとめて管理!」
「つまり、領地が中心となって畜産場を運営し、そこから繁殖したものを分配する、と?」
「そう。それならみんな負担がなくて、増やしやすい!」
各家で1〜2匹飼っている家畜はいる。
ただ、それだけじゃ発展しない。
なら領がまとめて面倒を見て、増やして戻せば良い。
「そして今の飼い主さんたちをそのまま管理責任者に!」
「……なるほど。経験がある者をそのまま人材として登用するわけですね」
「そういうこと! 最初から専門家はいないもの、自分たちで作るの!」
ガルドはやっと頷いた。
「これは……かなり現実的な案ですね」
「でしょでしょ!」
■畜産地計画
学術の人たちが作ってくれている地図を広げる。
「この辺りが平地で、風も通るし……」
「水場も近いですね」
「よし、ここに大きい囲い! ここに牛舎! こっち豚舎!」
「畜産村みたいになりそうですね……」
「うん! いいじゃん畜産村!」
私は勢いよく鉛筆を走らせる。
ガルドは苦笑しながら地図に正確な線を引き直す。
「メイヤ様。領地の正式な指示として扱われますので……もう少し丁寧に……」
「はーい……」
相変わらず子ども扱いされている気がする。
でもまぁ、間違ってない。
■ロウガへの依頼書
「よし依頼書完成! ガルド、ロウガさんのとこに届けて!」
「……もう少し私の業務量も考えてほしいのですが」
「ガルドならできる!」
「……その言葉、もう褒め言葉として受け取れなくなってきましたよ」
と言いながら書類を抱えて走って行った。
うん。頼りになる執事って素敵。
■そして私は呟く
「これで……肉も、乳製品も……未来が変わる!」
領地はまた一歩前に進む。
畜産は地味だけど確実な革新だ。
「さぁ、牛乳生活……始まるわよ!」
私は勝手に決めて、勝手にワクワクした。
王都の騒がしい影とは裏腹に、
この領地は今日も元気に進化していく――。




