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階段から転落して思い出しました!89歳まで生きた私、今度の人生は異世界で半島領の次女です  作者:


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79/202

働く車と乗用車?そんな感じで!

「鉄製品って何がいいかなぁ〜……」


メイヤが頬をむにむにしながら悩んでいると、鍛治士タルトさんと木工師ロットさんが、なぜかきっちり正座で待っていた。


「お嬢、鉄で何か作るって聞きまして!」


「私も木のフレームに合わせられる物があるかと!」


2人の期待の眼差しに、メイヤは「うぇっ!」と小さく後ずさる。


(いや、そんなガチの眼……プロの本気の眼で迫らないで……!)


しかし、漁村で見つかった砂鉄層のおかげで、鉄の供給量が増える可能性が出てきた。

領地の産業としては超重要。軽くあしらうわけにもいかない。


「えっと……じゃあ、荷馬車の改善はどうかな?」


「ほう?」


「ほぉぉ〜?」


タルトさんとロットさんが同時に前のめり。

肩が当たって「ゴンッ」と音が鳴り、二人とも「痛っ!」と同時に頭を押さえる。


(仲良しか!)


「……あの、荷馬車ってさ、木の車輪そのままだと衝撃すごいし、壊れやすいでしょ?

だからその……鉄の輪っかで補強とか……あとは“バネ”とか……?」


「ばね?」

「バネ?」


「うん。私も詳しくはないけど……なんとなく、こう、しなって衝撃を吸収するやつ!」


と言いながらメイヤは急いで「なんとなく図面」を書いた。


みたいな、完全にイメージの代物。


だが、タルトさんとロットさんは真剣だ。


「……お嬢! これは面白い!」


「この“しなる金属板”……使えるぞ!」


「いけますね!!」


なぜか二人で肩を掴み合いガッツポーズ。


(そんなに?そんなにイイ!?)


その勢いのまま二人は工房へダッシュしていった。



数日後


ゴォォォォォォォ……

工房の外から不気味な音が響く。


「メイヤ様!試作品ができました!」


ロットさんの声にメイヤが行くと、そこには改造された荷馬車が。


・鉄の輪を取り付けた頑丈な車輪

・車体の下には板ばねっぽい物体が「ぐにゃん」と取り付けられている


タルトさんは胸を張る。


「重量に強い“板ばね式”です!」


「衝撃を受けても……ほら!」


ドスッ(タルトさんが荷台車上で跳ねる)

 → 車体がしゅんっとしなる。


「すごっ!!」


ロットさんが別の試作品を出してくる。


「こちらは“弓形式”。しなやかさ重視で、乗り心地が抜群です!」


「揺れはしますが、ガタガタが消えましてねぇ……!」


(乗用車とトラックみたいな差が出てきた……!)


メイヤは感心しながら頷く。


「荷物は板ばね、人が乗るのは弓って感じかな!?」


すると二人は満面の笑み。


「「まさにそれです!」」


―――


そこへ、突然。


「なああああんとぉぉぉ!? 新型の荷馬車だとぉぉ!??」


ロウガ商会の主、ロウガさんが土煙を上げて登場。


「聞いたぞメイヤちゃん!! なんかすんごい荷馬車作ったって!!」


(誰よ情報流したの!!)


ロウガさんは食いつくように試作車にへばりつき、乗り心地を確かめ、車輪を叩き、ばねを伸ばし……


「ほしい!! うちの商隊、全車に搭載したい!!」


メイヤ「え、えーと……すぐには新車は無いですが……」


「なら既存の馬車を全部改造してくれぃ!! いや、むしろ頼む!!」


商隊の馬車は数十台規模。


ロットさんが青ざめる。


「そ、それは……仕事量が……!」


タルトさんは逆に震えて笑った。


「ふ……ふはは……! 商売が……来たああああッ!!」


メイヤは気圧されつつも笑顔で頷いた。


「じゃあロウガさん。順番に改造していきますね!」


「任せたぞメイヤちゃん!! この領地の馬車、全部革命だぁぁ!!」


―――


こうして、

鉄×木の新型サスペンション付き馬車という、「働く車」と「乗用車」に相当する画期的な2種類の馬車が完成した。


領地の人々は知らなかった。

これが後に――


『馬車革命元年』


と呼ばれることを……。

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