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階段から転落して思い出しました!89歳まで生きた私、今度の人生は異世界で半島領の次女です  作者:


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揺れる王都、動き出す闇。そして芽吹く“未来”

その日、王都では朝からざわめきが途切れなかった。


王室が正式に発布したのだ。


『度量衡の統一』


王都から世界中へ、全国民へと向けて。


商人だけではない。農民、工房、兵士、役人……誰もがこの知らせに息を呑んだ。


「ついに……!」


「王室が、統一を……!」


「これで量をごまかされない!」


「俺たちが損をしなくて済む!」


意味を理解した民たちは、歓喜を隠せなかった。


これまで樽の大きさ、升の深さ、秤の重り——

領地ごと、店ごとにバラバラで、誤魔化そうと思えばいくらでも誤魔化せた。


それが一気に固定される。

国が、正式に管理する。


当然――

導入した商人や店には客が集まった。


「ここは王室式の升を使ってるから安心だ」


「この店、ちゃんと統一秤に変えたってよ」


導入しない商人や店舗は、

見る見るうちに客足が遠のいていく。


その姿を、路地裏から睨みつける影もあった。


「……チッ」


「余計なことを……」


「王室も、あのババアも……!」


快く思わない連中は、まだ抵抗していた。

裏で繋がる大商人、貴族、そして……

特に黒い噂のあるガリオン領主の取り巻きたち。


だが——


王都の奥深く。

世界商品登録機構・総責任者室。


バサッ、と書類を投げ置きながら、

アグライア=ホルンベルグは豪快に笑った。


「さーて……これで不穏分子が動き出すわよ」


窓に映る王都の街並みを鋭く見つめる。


「どこの誰が文句を言うか、全部炙り出される。私の可愛い子たちが、せっせと証拠を持って来てくれるでしょうよ」


“可愛い子たち”というのは、

もちろん各商社に潜り込ませている情報員のことだ。


「抜け駆けもしようとするでしょうし、邪魔もしようとするでしょうし……」


唇の端が吊り上がる。


「ぜ〜んぶ、阻止してやるわ」


ババアは完全に“戦闘態勢”だった。



その頃――メイヤの領地。


学術の観察小屋が、朝から騒がしかった。


「おい! おいおい!!」


「これを見てくれ!!」


「な、なんだ!?まだ朝一だぞ!?」


若手学術員が、紐で縛ったゴアゴア紙の束を抱えて走り込んできた。


「見て!! 根が!!」


「……は?」


紙を解く。


油を染み込ませたゴアゴア紙がはらりと落ち、

その中に巻かれた“乾燥ゴケ”が露わになった。


学術員全員が息を呑む。


「……こ、これは……!」


皮を剥いた部分から――

白い根が、数本。しっかりと伸びていた。


「出てる……!!」


「ほんとに根が……!?」


「“挿し木”……成功だ!!」


観察小屋は一気に歓声で満ちた。


報告を受けたメイヤは、駆けつけるなり目を輝かせた。


「成功したのね!」


「は、はい!!観察開始から三週間目に……!」


「こんなに早いなんて……!」


「根の状態もとても健康です!湿度保持、雑菌防止……理論通りに進んでます!」


興奮した学術員たちは、次々に説明を始めた。


「これ……量産できますよ!」


「本数が数倍、数十倍になる可能性が!」


「クリクリも、もももも、ミミカ――

一気に“産業”になるかもしれませんよ!!」


メイヤは頷きつつ、静かに息を整える。


この成功が何を意味するか、

彼女は誰よりも理解していた。


……これで、うちの領地の“未来”が変わる


クリクリの実は加工次第で保存食にも菓子にもなる。

ももも、ミミカは果実酒、乾燥果、薬効研究の余地もある。


そして何より——


「特産を、確立できる」


メイヤの言葉に、学術員たちはさらに色めき立つ。


「すぐ次の挿し木も準備します!」


「成功率を統計化したいです!」


「どの種類が向いているか……!」


全員が一斉に動き出した。


まさに“学術が大騒ぎ”だった。



王都と地方。


静かに、しかし確実に動く大きな波。


王都ではルール統一の反発が渦巻き、

不穏分子がちらつき始めている。


その一方でメイヤの領地では、

クリクリともももの増産体制が始まり、

新たな特産産業の幕が上がろうとしていた。


そして――


王都のババアは、

その動きを既に把握していた。


「ふふ……あの嬢ちゃん、また面白い事をしてるわね」


彼女は書類を閉じた。


「本格的に動くわよ……世界が変わり始めた。

なら、私たちも変えるだけ」


アグライアの瞳が静かに光る。


「動くなら今よ。

守るべきものは守る。

潰すべき奴は――全部潰す」


王都と地方。

闇と光。

知恵と力。


それらが混ざり合い、

新しい時代がゆっくりと形を作り始めていた。

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