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階段から転落して思い出しました!89歳まで生きた私、今度の人生は異世界で半島領の次女です  作者:


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クロスボウ訓練と、うっかりスカウト事件

「はーい!深呼吸してー!ゆっくりだ!落ち着けば大丈夫!」


機構軍隊長のやたら通る声が、草原に響く。


「ここだって思ったら撃て!!」


――ばしゅーっ!!


「おっ!当たった!!」


木製の的に、矢がしっかりと突き刺さる。


「その要領だ!今度は真ん中に当たるようにな!!」


訓練場の一角。

そこでは――


なぜか学生たちがクロスボウ訓練を受けていた。


■ そこへ現れた、近衛隊長


「……機構隊長さんや?」


腕を組んだ近衛隊長ラウフェンが、呆れ顔で声をかける。


「何をしとるんじゃ?」


「見りゃ分かるでしょ?」


機構隊長は、軽く手を振った。


「学生さんにクロスボウ教えてんの」


「リディアちゃんに頼まれたのよ」


「リディア?」


「そ。俺らが訓練してるところに、ひょこっと現れてさ」


――回想。


『どうせなら、わたしたちも一緒にやってみたいです!』


目をキラキラさせて言われ、断れる男など、この世に存在しない。


「で、気がついたらこうなってた」


「……なるほど、完全に押し切られたわけじゃな」


■ 近衛隊長、真顔の疑問


ラウフェンは、学生たちを見渡す。


的に向かって、真剣な顔で構える少年少女。


「……いやしかしだな」


「?」


「武器を、こんな子供たちに扱わせてよいのか?」


「え? いいでしょ?」


即答だった。


「姿勢と集中力の訓練にもなる」


「……そこか?」


■ その時、才能が現れる


「おっ!君、上手いね!!」


機構隊長が声を上げた。


的の真ん中に――

ほぼど真ん中に矢を突き立てたのは、小柄な少女。


「名前は?」


「……ミリアです」


「へぇ〜!大人になったら世界商品登録機構を受けてみな!各領地を回って仕事できるぞー!」


■ 近衛隊長、ブチ切れ寸前


「お前ぇぇぇぇぇぇ!!!!」


ラウフェンの怒号が訓練場に轟いた。


「人材確保を今から始めるなぁぁぁ!!」


「いやいや!ちげーよ!!」


「何が違う!!」


「俺、別に“勧誘”とかしてねーし!!」


「今のがスカウトでなくて何じゃ!!」


■ 子供たちの反応が、さらに地獄


すると、別の少年が無邪気に言った。


「ねぇねぇ、機構って各領地に遊びに行けるの?」


「まぁ……仕事だけどな」


「近衛より楽しい?」


「……王様の相手や貴族を相手なんて疲れるぜ?」


「え、じゃあ将来そっち行こーかな!」


「おま!!」


ラウフェンが機構隊長の胸ぐらを掴みかける。


「近衛の志願者を今この場で減らす気か貴様ぁぁ!!」


「いやだから、ちげーって!!」


■ 機構隊長、ついに本音を漏らす


「だいたいさぁ……」


機構隊長はため息をついた。


「嬢ちゃんの作った飯を食って、この領地の様子を見て、この子らの目の輝きを見たらよ……」


「……?」


「将来、ここ発信で世界が変わるって、嫌でも分かっちまうだろ」


ラウフェンは、少しだけ黙った。


「それは……否定できんが……」


■ 結論:訓練は続行


「とりあえず」


機構隊長はパンパンと手を叩いた。


「今日は“遊び”の延長でいいだろ?」


「……まったく……」


「はいはい!次の人ー!!」


学生たちは嬉しそうに列を作る。


「的の真ん中なー!外したら罰ゲームで腕立てなー!」


「えええぇぇぇ!?」


笑い声と叫び声が、草原に響き渡った。


■ 遠くから見ていた人物


少し離れた場所から、その光景を見ていたメイヤがぽつり。


「……なんで学生がクロスボウ撃ってるの……?」


横にいたミュネが、目を逸らす。


「さぁ……最近、この領地では“よくある光景”ですので……」


メイヤは頭を抱えた。


「私の知らないところで、いろいろ進みすぎじゃない……?」


だがその顔は――

なぜか少し、嬉しそうだった。

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