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階段から転落して思い出しました!89歳まで生きた私、今度の人生は異世界で半島領の次女です  作者:


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菌と規格と爺の不敵な微笑み

「……ほぉ……」


木工師の爺は、工場予定地の高台から、眼下の光景をじっと眺めていた。


そこでは――

小さな少女が、大の大人たちを相手に、腕を組んで堂々と指示を飛ばしている。


「そこ、寸法ズレてる!規格は“指三本分”って言ったでしょ!」


「その柱は“規格B”!勝手に太くしない!」


「床材は一回全部並べて、誤差チェックしてから固定よー!」


「……メイヤ様が、新しく来た労働者を“規格”で指揮しとるとはのう……」


しかも、だ。


「建物そのものまで“規格”で揃えるとは……」


爺は、ククク、と喉の奥で笑った。


「……やはり、手紙に一言付け加えておいて正解だったわい」


――“あの子は、効率と生産性の化け物です”

――“この手紙が届いた頃には新たな物が生まれてると思います”


確かに、メイヤのやっていることは異常だった。


構造を単純化し、寸法を揃え、工程を分解し、誰でも同じ品質で作れる“仕組み”に落とし込んでいる。


「熟練度が低い者でも扱える構造……」


「これはもはや……“職人殺し”じゃの」


だが――


「……同時に、古い文明殺しでもあるがな」


爺は、また不敵に笑った。



その頃、メイヤの執務室


「ふむふむ……」


指揮を終えたメイヤは、机に山積みされた報告書に目を通していた。


「水路改修、順調」


「脱穀設備、仮組み完了」


「乾燥棚、来週から本設置……」


そして、一枚の紙に目を留めた。


「……八十八、さらに開拓を拡げるのね」


メイヤの表情が、ぱぁっと明るくなる。


「私にとっては……最高のニュースよ!」


報告書の地図には、新たな湿地帯の区画が記されている。


「しかもここ……水温が安定してる……?」


指でなぞる。


「……三毛作、可能じゃない!」


脳内で、歯車が一気に回転し始めた。


「三毛作ってことは、年に三回収穫」


「収量は単純計算で三倍」


「消費に回しても余剰が出る」


――つまり。


「加工用に回せる……!」


メイヤの目が、キラリと光った。



メイヤ、発酵の扉をぶち破る


「……そうなると……」


カリカリと鉛筆が走る。


「米の加工品……増やせるわよね」


最初に思い浮かんだのは――


「……どぶろく……作れるんじゃない?」


すっと、イースト菌の存在が脳裏に浮かぶ。


「ある。酵母、ある。温度管理も出来る」


「……いけるわね」


メイヤは即決した。


「これは調理師さんに、レシピ作って渡しておこ」


メモに走り書き。


そして、ふと顔を上げた。


「……菌……?」


一瞬の沈黙。


次の瞬間。


「……あぁああああ!!」


机を叩いた。


「忘れてた!超・重要案件!!」


バッと立ち上がる。


「大豆……ある」


「藁……ある」


「冬じゃない……温度管理できる……」


「……納豆、作れるじゃない!!」


震える声。


「納豆が来たら、白米が完全体になるじゃない!!」


なぜか一瞬、背後で雷が鳴った気がした。


「これは……文明的にやっていいレベルかしら……?」


一秒だけ悩み――


「いいわね!」


即、解禁。


「これもレシピ化して渡す!」


さらに――


「糠……精米したら必ず出る……」


ハッとする。


「……糠床、作れるじゃない……」


糠。

塩。

野菜。


「……糠漬け、いける……!」


頭の中で、


・白米

・味噌汁(予定)

・昆布出汁

・納豆

・糠漬け

・どぶろく


という、異世界完全破壊メニューが完成した。


「……和食、ほぼ完成じゃない……」


メイヤは、深く息を吸った。


「ふふふ……」


「和食再現計画、最終段階突入ね……」

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