メイヤ、地図造りお願い!領主また金額でひっくり返る
学術隊の野営地。
白いテントがずらりと並ぶ中、ひときわ大きなテントがひっそりと存在感を放っていた。
「ここね……学術長さんの部屋!」
昨日の荷馬車ダメージが尾を引き、腰をさすりながらメイヤはよろよろと中に入る。
■ 学術長の机には地図が散乱
「失礼しまーす……うわ、地図だらけ!」
机の上には、大小さまざまな手描き地図が折り重なり、まるで“紙の山脈”。
学術長は顔を上げ、静かに礼をした。
「お嬢様。まだ領全体には至りませんが、主要部だけ少しずつ……」
メイヤは一枚を手に取り、眺める。
「屋敷と村の中心、領境まで……ふむ。数日でこれはむしろ早いわ!」
だが課題は別にある。
「領地がどれくらいの広さか分からない以上、完成いつ、って言えないのよねー……」
腕を組む。
(毎日提出……うん、絶対面倒くさい!)
そこで、ひらめきが降りた。
■ メイヤ、更新ルールを作る
「ねぇ学術長さん。報告って……1週間に1回でいいわよね?」
「そのくらいが現実的ですな」
「でしょ!?毎日なんて、手も脳も死ぬわ!」
そして彼女は“効率化の悪魔”へと変貌。
「それと……1枚全部終わるまで待つ必要なし!50センチ四方分くらい埋まったら提出!」
「なるほど。区画単位での報告ですな」
「そうそう!区切りがあったほうが管理しやすいでしょ?」
さらに、メイヤはニヤリ。
(コピー機……この世界に無いのよねぇ……)
「だからね……《版画》で印刷しましょう!」
「は、版画……?」
「木工師さんに彫ってもらえば、いくらでも刷れるじゃない!」
学術長は目を丸くしたまま固まった。
「お嬢様……その発想……すごい……!」
「ふふん!(ドヤ)」
■ とにかく“地形優先”
「とりあえず今は、地形だけ完成させること最優先ね!川、森、丘、道!名前とか特産とかは後!」
「かしこまりました。まずは地形地図を作成に集中します」
「よろしく〜!」
そう言って、メイヤは木工師の作業小屋へ。
「爺ちゃん!地図の版木、お願いねー!」
「ほほっ。若ぇのに変なアイデアばっか思いつくのう……まぁ、やっちゃるわい」
爺さんはニヤけながら、すでに工具を握りはじめていた。
■ 領主邸では——ロウガ帰還!
「領主様、戻ったぞ!」
玄関が揺れるほどの声に、父が血相を変えて走り出る。
「ロ、ロウガ殿!?日雇いの件は!?」
ロウガは腕を組み、ニヤリ。
「あぁ。予想だが――第1陣10名前後。第2陣15名前後。第3陣20名だ」
「な、なんとそんなに!」
「全員、建築関連の経験者だ。大工、左官、足場、荷運び、揃ってる。作業は爆速で進むぞ」
領主は震える手で受け取った書類を開く。
「で、で、でも給金は……?」
ロウガはさらりと言った。
「鉛筆とゴアゴア紙の売上から引いとくぞ」
カサッとロウガが置いた紙を領主が見た瞬間——
「な、な、な……なんじゃこの金額はあああぁぁぁーッッ!!?」
「まだその反応すんのかよ……」
領主は椅子から半分ずり落ちている。
「桁が……桁が……!!」
ロウガは額を押さえた。
「頼むからもう“貧乏癖”なおせっての。どんだけ儲けてると思ってんだよ?これ、完全に黒字経営だからな?」
「わ、私の領地が……黒字……?そうだったな!」
ロウガは肩をすくめた。
「慣れろ。そのうち“もっと金動かせ”って自分から言い出すようになるさ」
領主は天井を見つめて固まった。
(メイヤ……お前はいったいどこまで……)
■ メイヤ、新体制に向けて燃える
その頃メイヤは、学術隊からの帰り道で拳を握っていた。
「よし!地図体制は整った!情報の土台作りが、やっと始まるわね!」
腰は痛いが心は軽い。
領地改革は、また一歩前へ――。




