領主様、遂に腹を括る!!
執務室に、重いため息が落ちた。
「……よし。腹を括るか」
領主はロウガから受け取った“領民募集・書類爆弾”をもう一度見つめる。
『年齢不問!家族歓迎!移住費負担!』
「……前代未聞だ。いや、前代どころか後代にもねぇ……」
だが――
メイヤの想いは、本気だ。
領主は静かに頷いた。
「やってみるか。どうせ笑われるなら、豪快に笑われてやろう」
問題にならないように、世界商品登録機構を経由する形にするのも決めた。
丁度今、学術隊と機構関係者がこの領地に滞在中。
「機構隊長に頼むのが一番だな……」
■ 機構隊長、書類を見て吹く
領主は、機構隊長のテント前へ向かった。
「隊長、この書類なのだが、王都での発行をお願いしたい」
隊長「どれどれ……?」
そして三秒後。
隊長「ぶっほぉおおお!!?!?!」
鼻からだけでなく、目からも涙が出ていた。
「領主様!これは!これはまさか!!“領民募集”!? !?」
隊長は書類をめくりながら、驚愕を深めていく。
「作者……いや、作ったのは我が娘だ」
「ああ、納得です」
納得すんな!
隊長は咳払いしつつ、報告書を抱える。
「まぁ、やっときますよ。丁度“別の報告”もありますし」
「別?」
隊長は深刻な顔になる。
「例の……木工師の爺さんの件です」
「うちの木工師?」
「はい。ありゃー何もんですか?……」
「俺の親父が確か連れてきた人物だか?」
「あと、アグライア=ホルンベルグ様のことを“ババア扱いした件”も」
領主「(三倍辛い……)」
隊長はため息をついた。
「あの御方、笑ってはいましたが……目が……
タカの目のようだったんですよ」
「おおぅ……」
隊長は書類を預かり、去っていく。
「では募集書類は預かります。」
■ 一方その頃、メイヤは……
メイヤは学術隊の植物担当のテントに向かった。
扉を開けると――
「なんか荷物増えてない?」
テント内が“山”になっていた。
植物、採取した果実、奇妙な根、土入り袋、謎の骨……
朝より確実に1.5倍増えている。
学術員(植物)
「いえ、ちょっと道中で採集しすぎまして……」
「やっぱり増えてるじゃない!!」
そんな中、メイヤの視界にあるものが入った。
――丸いゴロゴロした根。
――黄色くて粒がぎっしりの棒。
「……これ……まさか」
「? 道中の村付近で採れた植物ですが……毒性確認がまだなので――」
メイヤは黙ってそれらを掴み、
「これ、茹でます!」
「ま、待って!? まずは安全確認が――!」
「“茹でれば大体なんとかなる”のが文明だよ!!」
文明を信じるな。
しかしメイヤは鍋に水を入れ、火にかけ、勝手に茹で始めた。
学術員達は慌てふためいて包囲する。
「お嬢様!!未知の植物を勝手に調理しては――!」
「大丈夫!これ、絶対食べたことある味だから!!」
そして――
茹であがった。
ほくほく。
甘い香り。
「はい、まずは私から」
学術隊全員「やめてぇえええええ!!」
しかしメイヤは容赦なく口へ。
もぐもぐ……
もぐもぐ……
そして――
メイヤ
(うん。前世の記憶にも有るジャガイモとトウモロコシだコレ)
学術隊「えぇええええ!!?」
恐る恐る、植物担当もひと口。
「……甘い……」「美味しい!」「安全……ですね!!」
メイヤはすぐに指示を飛ばした。
「これ、試験畑を作ります!!土質ごとに区画を切って、成長調査!種子の確保も忘れずに!」
植物担当「は、はいぃーー!!」
「腹を膨らませるにはコレが一番!人手が少なくても栽培できるし、収量も期待できる!」
学術隊全員が圧倒される。
メイヤの瞳はギラギラ輝いていた。
「……よし、食料革命、始めます!」




