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階段から転落して思い出しました!89歳まで生きた私、今度の人生は異世界で半島領の次女です  作者:


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父との会談

父の執務室は、木工場の工事現場から戻ったメイヤの足音が近づくと、ゆっくり扉を開いた。

ガルドが軽く一礼して下がる。


「父様、領地の現状について、詳しく教えてほしいことがあって来ました」


父は書類の束から顔を上げ、苦笑を浮かべた。


「……また“質問攻め”をしにきたのか。お前は昔から疑問が尽きん子だな」


「はい! ではまず――」


父は言い終える前に、メイヤはすでにゴアゴア紙と鉛筆を取り出していた。



■人口と構成


「まず、領地の総人口は?」


「……えーと、全部で 二百三十二名 だ」


メイヤはメモをとる。


「男女比は?」


「えーあー男が百二十、女が百十二。子どもは三十七名」


「大人に比べて子ども少なっ!」


「……まあ、流行病や移住の減少が原因だな」



■地形と農地


「領地の半島地形は?」


「漁村がいくつかあるが、規模は小さい。」

「港はあるが、他地域との海運ルートは確立されていない。」

「海沿いなのに“もったいない領地”として扱われている。」


「農業は?」


「内陸部は農村、穀物と家畜が中心。天候に左右されやすく、豊かとはいえないが貧困ではない。」


「農地の広さは?」


「開拓済みが 百二十ヘクタール、未開拓が倍はある」


「倍!? もったいなっ!」


「人手が足りんのだ……」


■資源と特産品


「資源は?」


「森で木材は取れる。川と海からは魚。鉱物系は……貧しい」


「特産品は?」


父は首をかしげた。


「……特産品と呼べるものは、ないな。いや。今は鉛筆とゴアゴア紙だな」


「この領地、やっぱ産業なさすぎじゃない?」


「言うな……痛いところだ……」



■農産物の総生産量


「農業の総生産量は?」


「去年は干ばつで減った。主作物は 麦が三十二トン、根菜合わせて十八トン、穀物が七トン だ」


「え、それじゃ人口分でギリギリじゃない?」


「だから毎年余裕がないのだ……」


メイヤは眉を寄せた。


■「人口が…少なすぎる」という現実


「ていうか父様、今回来た商隊の人の方が多いよね?一隊だけで三百人近くいたけど?」


「……うむ」


「うむ、じゃないよ!? ウチの人口より多いんだよ!?これ商隊に定住してもらった方が早いんじゃ?」


父は咳払いして言い直した。


「気持ちは分かるが、商人は“商売で旅をする”からこそ商人だ。定住する者はほぼいない」


「だよねぇ……」


■奴隷制度の疑問


「ところで――」


メイヤは眉を寄せる。


「まさか、この世界……“奴隷制度”なんてあるの?『足りないなら買え』みたいな最悪ルートじゃないよね?」


父は目を見開いた。


「な、何を言い出す! そんなことはない!

この国にあるのは 犯罪奴隷 のみだ。重罪を犯した者に限られる。人身売買などは国家が厳罰で禁じている」


「よかったぁあああ……!」


メイヤは胸を押さえて座り込む。


「怖かったんだから……」


■では、どう増やす?


「じゃあ、他の領地から人を引き抜くのは?」


「不可能ではないが……人口は資産だ。どの領地も簡単には手放さん」


「そりゃそうかぁ……」


少し考えてまた質問。


「でも引っ越してくることはあるんだよね?」


「ああ。

結婚、親の介護、家を継ぐ者がいない場合など例外はある。ただし――」


「ただし?」


「平民の移動には金がかかりすぎる。移住できるのは、ごく一部だ」


■出稼ぎと定着


「出稼ぎは?」


「それは多い。季節ごとに各地を渡り歩く労働者もいる。そのまま住み着く者も……稀にだがいるな」


「なるほどね……」


■教会の“福祉”


「ところで“孤児院”や“救貧院”みたいなのある?」


「あるぞ。ただし、教会によって方針も設備もまちまちだ。領主が支援していれば整が……うちは予算が厳しくてな。まあ孤児も保護人もうちの領地にはおらんが」


「ふむ……」


メイヤのメモはびっしり埋まり、ページをめくる手はもはや止まらない。


■そして、根本的な問題にぶつかる


メイヤは一度鉛筆を置き、父をじっと見つめた。


「――つまり父様」


「ん?」


「この領地、そもそも“人が足りなさすぎる”のが最大の問題なんじゃない?」


「…………言われてみれば、そうだな」


父も思わず頭を抱えた。


メイヤは立ち上がり、勢いよく言い放つ。


「じゃあ!ロウガさんに“人の移動”について相談してみる!何か方法あるかもしれないし!」


「ロウガ殿なら……確かに何か知っているかもな」


■そして、メイヤは動き出す


メイヤはメモ板を抱えて走り出した。


「父様、ありがとう!次は“税制度”と“戸籍の仕組み”について聞きに来るからね!」


「えっ、また来るのか!?できれば今日じゃなく……」


「今日行く!!」


扉がバタンと閉まる。


父は机に肘をつき、小さくため息をついた。


「……あれは、本当に領主の器かもしれんな」

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