いよいよ明日!?領地、緊急大混乱モードへ
数日後。
臨時宿舎の建設は、相変わらず地面が忙しくなっているだけで、建物が増えている気配はあまりない。
「梁が足りません!!」
「その前に人手が足りません!!」
「そもそも間に合いません!!!」
……という叫び声は、もはや日常になっていた。
そんな中、またもや早馬がやってくる――
と思いきや。
早馬、来ない?いや馬だけ来た。
「……あれ? 人、乗ってない?」
ガルドが目を細める。
馬は明らかに焦っている。
ブルルッ! ヒヒーン!!(はやく!!はやく!!)
とでも言いたげに、必死に領主館の前を行ったり来たり。
父は、ぽつりと言った。
「……まさか、馬だけで来たのか?」
そして馬の目が合った瞬間――
ドンッ!
父は馬に掴まれた。
馬は父の服を噛んで強引に引っ張り、
「乗れ!!」とばかりに背中を差し出す。
「え、いや、ちょっと――わ、わかった!!」
父は半ば強制的に馬へ。
馬は勢いよく走り出した。
ダダダダダダダッ!!!
どこのコントだと言いたくなるほどの勢いで、
父を背に暴走する馬。
「どこに行くんだぁぁぁぁ!!」
必死な叫びが村に響く。
若い兵士、道に落ちていた。
途中の道端に――若い兵士が転がっていた。
「おいッ!? 大丈夫か!!?」
兵士は地面に指で文字を書き残していた。
『ねむい』
どうやら、眠気に負けて馬から転げ落ちたらしい。
「……そんなことあるか?」
父は呆れながらも、その兵士を馬にくくりつけ、引きずらないよう調整しつつ領主館まで急いだ。
ガルドの迅速な対応。
到着するや否や、ガルドは即行動。
「こちらへ! 簡易ベッドを!」
すでに用意していたかのように、ふかふかの布団を敷き、毛布までかける。
母は呟いた。
「……まるで疲れ果てた旅人を癒やす聖堂ね」
父も頷く。
「最近、ガルドが神に見えてきた……」
その言葉にガルドは静かに微笑んだ。
「お褒めにあずかり光栄です」
翌朝――兵士覚醒?
朝、若い兵士は突如ガバッと上体を起こした。
「助けていただき、ありがとうございました!!」
「いや、こちらこそ……寝落ちするまで働かせてしまったのか?」
すると兵士は急にキリリとした表情になり、
「――で、伝言です!!」
父・母・ガルドの背筋が伸びる。
兵士は胸を張り、大きな声で叫ぶ。
「商隊、明日中にも到着予定とのこと!!」
一瞬の沈黙。
「明日……?」
「明日“中”……?」
父が確認する。
「それは……今日の“明日”か?それとも昨日の“明日”か?」
「もちろん、昨日の明日です!」
兵士は元気いっぱい笑った。
「てへっ!」
その瞬間――
領主夫妻、大パニック!?
「今日来るんじゃないのよおおおおおお!!」
「なんで昨日言ってくれなかった!!」
「昨日は寝てました!!」
「寝落ちしてたーーー!!!?」
領内に悲鳴が轟く。
ガルドは冷静に手を叩いた。
「……はい、落ち着きましょう」
その声で場がすっと静まる。
「向こうから“急に来る”と言われている以上、もう仕方ありません。入口に門番を立て、到着を確認し次第、私に報告させましょう」
父はぐったりとした。
「……ガルドだけが頼りだ……」
母も遠い目をした。
「……この領地の実質の支配者ね……」
ガルドは軽く笑い、出て行った。
「では、到着に備えて準備を進めます」
いよいよ――運命の“面会”
ついに明日。
領主と、王室近衛隊長が正式に顔を合わせる。
そして、そのすぐ後ろには――
“史上最大規模の学生実習隊”が迫っていた。
嵐は、もう目の前だった。




