いよいよ明日!?領地、緊急大混乱モードへ
数日後――。
臨時宿舎の建設は、相変わらず地面が忙しくなっているだけで、建物が増えている気配はあまりない。
「梁が足りません!!」
「その前に人手が足りません!!」
「そもそも間に合いません!!!」
……という叫び声は、もはや日常になっていた。
そんな中、またもや早馬がやってくる――
と思いきや。
■早馬、来ない。馬だけ来た。
「……あれ? 人、乗ってない?」
ガルドが目を細める。
馬は明らかに焦っている。
ブルルッ! ヒヒーン!!(はやく!!はやく!!)
とでも言いたげに、必死に領主館の前を行ったり来たり。
父はぽつりと言った。
「……まさか、馬だけで来たのか?」
そして馬の目が合った瞬間――
ドンッ!
父は馬に掴まれた。
馬は父の服を噛んで強引に引っ張り、
「乗れ!!」とばかりに背中を差し出す。
「え、いや、ちょっと――わ、わかった!!」
父は半ば強制的に馬へ。
馬は走り出した。
ダダダダダダダッ!!!
どこのコントだと言いたくなるほどの勢いで、
父を背に暴走する馬。
「どこに行くんだぁぁぁぁ!!」
必死な叫びが村に響く。
■若い兵士、道に落ちていた
途中の道端に――
若い兵士が転がっていた。
「おいッ!? 大丈夫か!!?」
兵士は地面に指で文字を書き残していた。
『ねむい』
どうやら、眠気に負けて馬から転げ落ちたらしい。
「……そんなことあるか?」
父は呆れながらも、その兵士を馬にくくりつけ、引きずらないよう調整しつつ領主館まで急いだ。
■ガルドの迅速な対応
到着するや否や、ガルドは即行動。
「こちらへ! 簡易ベッドを!」
すでに用意していたかのように、
ふかふかの布団を敷き、毛布までかける。
母は呟いた。
「……まるで疲れ果てた旅人を癒やす聖堂ね」
父も頷く。
「最近、ガルドが神に見えてきた……」
その言葉にガルドは静かに微笑んだ。
「お褒めにあずかり光栄です」
■翌朝――兵士覚醒
朝、若い兵士は突如ガバッと上体を起こした。
「助けていただき、ありがとうございました!!」
「いや、こちらこそ……寝落ちするまで働かせてしまったのか?」
すると兵士は急にキリリとした表情になり、
「――で、伝言です!!」
父・母・ガルドの背筋が伸びる。
兵士は胸を張り、大きな声で叫ぶ。
「商隊、明日中にも到着予定とのこと!!」
一瞬の沈黙。
「明日……?」
「明日“中”……?」
父が確認する。
「それは……今日の“明日”か?
それとも昨日の“明日”か?」
「もちろん、昨日の明日です!」
兵士は元気いっぱい笑った。
「てへっ!」
その瞬間――
■領主夫妻、大パニック
「今日来るんじゃないのよおおおおおお!!」
「なんで昨日言ってくれなかった!!」
「昨日は寝てました!!」
「寝落ちしてたーーー!!!?」
領内に悲鳴が轟く。
ガルドは冷静に手を叩いた。
「……はい、落ち着きましょう」
その声で場がすっと静まる。
「向こうから“急に来る”と言われている以上、もう仕方ありません。入口に門番を立て、到着を確認し次第、私に報告させましょう」
父はぐったりとした。
「……ガルドだけが頼りだ……」
母も遠い目をした。
「……この領地の実質の支配者ね……」
ガルドは軽く笑い、出て行った。
「では、到着に備えて準備を進めます」
■いよいよ――運命の“面会”
ついに明日。
領主と、王室近衛隊長が正式に顔を合わせる。
そして、そのすぐ後ろには――
“史上最大規模の学生実習隊”が迫っていた。
嵐は、もう目の前だった。




