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階段から転落して思い出しました!89歳まで生きた私、今度の人生は異世界で半島領の次女です  作者:


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領地、大混乱と準備の嵐

その頃――領地では、いつものように朝の仕事が始まろうとしていた。


だが。


「は、早馬です!!」


城門で叫び声が響くたび、屋敷の空気が凍りつくのが最近の恒例となっていた。


今日もまた、息を切らせた早馬の兵が書簡を抱えて駆け込んでくる。


父、母、そしてガルドは顔を見合わせた。


「……今回も、だな」


「ええ、嫌な予感しかしません」


ガルドは溜め息をつきながら封を切った。


読み進める三人の顔が――一瞬で真っ青になった。


「えっ……な、なんだこの金額は……?」


母が震える声で呟く。


書簡には、こう記されていた。


『前金の一部を送る。活用に努めよ』


だが、その“前金の一部”の金額が問題だった。

領地の年間予算の数倍どころか、十数倍は下らない。


金貨袋の封を開くと、ぎっしりと輝く金貨の山。


「こ、これが“一部”…?」


「全額届いたらどうなるんだ……?」


「メイヤは一体、何をしたのだ……」


三人の思考は完全に停止していた。


だが早馬の使者は、さらに恐ろしい“本命”を告げる。


「続きがございます。こちらが本題でして……」


父母ガルド「本題……?」


「一ヶ月ほどで、各地から実習生・派遣研究員・技術者など、総勢四百名ほど到着する予定とのことです。

そのため、最低でもテントを張れる平地、または臨時収容施設を建設せよ、との連絡です。」


父母ガルド「……四百?」


書簡にはこう続いていた。


『内訳は王都学園の生徒・若手研究員・支部設立要員・護衛団ほか』


母「ちょっと待って……生徒と研究者と兵士が混じってるわねこれ……」


ガルド「いや、それ以前に……四百名をどうやって受け入れろと……?」


父「テントなど……とても足りんだろう……」


ガルドは手で顔を覆い、深くうなった。


「……くるメンバーを考えると……テントでは不味いな……研究機材を置く研究者、身分の高い実習生、護衛団……絶対に“簡素な野営地”なんて許されん……」


母「そ、そうよね……」


静かな朝だったはずが、数分で大騒ぎへと変わった。


だが――


「……抱えても仕方ありませんな。やるしかないでしょう」


ガルドは立ち上がり、拳を軽く打ち鳴らした。


「よし、建築班を全員招集! 家畜小屋予定地の南側に大規模な平地を作る!臨時宿舎は最低でも三棟!水場の整備も同時進行だ!」


使用人も兵も、次々と走り出す。


領地は、メイヤ達の帰還を前に“戦時並みの準備”に突入した。


——————————


◆その頃・王都


一方、その事実を知らない王都の三人はというと――


「さて! 最後の準備よー!」


と、王都を思い切り満喫していた。


メイヤは書店街を回り、両手いっぱいの本を抱えていた。


「いやぁ……至福……!農業、織物、窯業、教育書……全部買った!!あ、こっちも……!」


時間ぎりぎりなのに、まだ別の棚に吸い寄せられていく。


リディアは鍛冶屋の主人と談笑していた。


「ここの切れ味、本当に凄いです。重さも絶妙で……!」


「成長期なんだろ? 違和感があったらまた持ってこい。調整してやるさ」


「はいっ!」


リディアは磨き上げた剣を大事そうに抱えた。


そしてミュネ。


彼女は、巨大な荷馬車の前で腰に手を当てていた。


「ふむ。メイヤ様とリディア様の移動分の食材……これで十分でしょう」


十分どころか。


荷馬車一台丸々、食材でパンパンである。


米、小麦粉、干し肉、保存野菜、乾燥果物、香辛料、チーズ、油樽、なぜか巨大な鍋まである。


リディア「ミュネ……これ、何ヶ月分?」


ミュネ「五日分です」


リディア「……五日?」


ミュネ「ええ、成長期のお嬢様方がどれほど食べるか、把握しておりますので」


メイヤ「そんな食べないよ!!」


ミュネはにっこり微笑んで、さらに袋を一つ積み上げた。


——————————


夕暮れ。


三人は合流し、王都の門を見上げた。


リディア「……じゃあ、帰ろっか」


メイヤ「うん!」


ミュネ「領地はきっと大変なことになっておりますよ。ふふ」


誰も――

まさか自分たちが帰る前から“領地総出での大騒ぎ”が始まっているとは、

夢にも思っていなかった。

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