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階段から転落して思い出しました!89歳まで生きた私、今度の人生は異世界で半島領の次女です  作者:


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即断

報告は、その日のうちにセリアの元へ届いた。


机の上に置かれた袋。

中身は、予定通りの現金。

だが問題はそこではない。


「……なるほどね」


セリアは、パナーからの口頭報告を聞き終えると、特に驚いた様子もなく小さく息を吐いた。


「旧ガリオン領で、貴族筋と思われる品の現金化が増えている、か」


パナーは、少しだけ言葉を選びながら頷く。


「はい。数も、一人や二人という感じではありません。店主の話では、ここ最近――です」


「機構からは、まだ何も上がってきてない?」


「今のところは……」


セリアは、机に指を置き、軽く叩いた。


(やっぱり、表より先に裏が動いたわね)


王都の再編。街道整備の失敗。

爵位降格や廃嫡の話。


不満を抱えた者が、何もしない訳がない。

そして、動く前にやる事は一つ。


金を作る。


「……予定、前倒しね」


そう呟くと、セリアは顔を上げた。


「まず、二つ決めるわ」


パナーと、リディア付きの秘書が姿勢を正す。


「一つ。この現金、当初予定の半分は“即使える予算”に回す」


「もう……ですか?」


「ええ。もうよ」


セリアは迷いなく言い切った。


「裏は、動き始めたら止まらない。こちらが先に目を作らないと、後追いになる」


そして二つ目。


「機構には、正式な“異常なし”の報告を出させて」


二人が一瞬、目を見開く。


「……よろしいのですか?」


「いいの。今は“表”には見せない。その代わり――」


セリアは、静かに笑った。


「準裏の人材、優先的に配置。商人、職人、運送、港。金が動く場所に“偶然いる人”を増やすわ」


「裏家業ではなく……?」


「まだ、ね」


完全な裏を動かすのは、決定的な証拠が出てからでいい。今は、気付かれずに、網を広げる段階だ。


「それと」


セリアは、少し声を落とした。


「貴族関係者に囚われず、最近急に羽振りが良くなった家。機構とは別口で、私にだけ報告を」


「……承知しました」


「騒ぎになる前に、潰すわ」


淡々とした声だった。だがそこには、はっきりとした意思があった。


金が動き始めた。ならば、答えは一つ。

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