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階段から転落して思い出しました!89歳まで生きた私、今度の人生は異世界で半島領の次女です  作者:


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武器屋にて知らぬ間に国は動く ―

王宮が大騒ぎになっている――

そんなことを、この街の誰も知らなかったし、もちろん私たち三人も知る由もない。


メイヤ、リディア、ミュネの三人は、放課後の石畳を軽い足取りで歩いていた。


「武器屋さん、今日受け取りの日だったよね!」

「ええ。ようやく完成したらしいわ」

「ミュネ、楽しみ~!」


そんなお気楽な会話をしながら、いつもの老舗の武器工房へ。


扉を開くと、油と鉄の香りがむわっと立ち込める。

店の奥から、腕の太さが丸太みたいな親方が顔を出した。


「おう、来たかお嬢ちゃんたち!」


■ リディアの武器


まず渡されたのはリディアの注文品。


細めでクセのない長剣。

そして予備の短剣。


「おお……軽い。けれど芯がある……!」

リディアが感動しながら構えると、親方がうんうんと頷く。


「成長期の嬢ちゃんにはな、体つきが変わる度に剣の“重心”がズレるもんだ。違和感が出たら遠慮なく持って来な。すぐ調整してやる」


「ありがとうございます。大切にします!」


本当に嬉しそうだ。

剣が似合いすぎている。もはや職業:剣士。


■ メイヤの武器(?)


そして私に渡されたのは――


「……小刀?」


「短剣って言ってたけどな。どう見ても細工用だぞ、これ」


むしろ前世で使ってた工作ナイフに近い。

切れ味は良さそうだけど、戦う気ゼロ。


「うん、そもそも戦うつもりないし。工作系で十分!」


それと――ふと思い出した私は、追加で頼んでいた品を受け取る。


「お、これが“クナイ”と“マキビシ”ってやつだな」


袋に入った棘状の金属。

そして棒の両端が尖った、聞けば聞くほど物騒な武器。


親方がマキビシを見てぽんと手を叩いた。


「これは使い方わかる。逃げ道作る時用だな? まぁ常識の範囲だ」


……常識ではないと思います。


しかし親方はクイナを見つめて眉をひそめた。


「で……こっちは何に使うんだ? 見たことも無い形だぞ」


「あ、これ? こうやってね……」


前世で得た知識を元に、使い方を実演してみせる。

遊び道具にも武具にもなる、あのシンプルな道具。


親方は目をまんまるにした。


「ほぅ~~~……なるほどなぁ……! 発想が面白ぇ!

――ってかおちび!」


「ん?」


「こういう変わったもん扱う時は、ちゃんと世界商品登録機構に登録しとけよ!じゃねぇと……俺が“妙な武器作った親方”って疑われちまうだろうが!」


「だよね~……わかった、登録しとく!」


思えば、最近登録しに行くことが増えている気がする。

それはそれで困る。


■ 帰り道、そしてのんびりタイム


武器を受け取った帰り道。

夕暮れの橙が石畳に落ち、リディアの剣の鞘がほんのり光る。


「メイヤ、本当に戦う気ないの?」


「ないよ。守ってもらう側だし。私が戦うより、逃げ道作る方が向いてるし」


「うんうん! ミュネはメイヤ守る!」


ミュネが元気よく胸を張る。


私は笑って、袋から一本だけクイナを取り出し、くるりと回してミュネに見せる。


「これ一個渡しとくね。いざという時の道具。あ、これは王都までの帰り道の検証用だけど」


ミュネは目を輝かせて受け取る。


家に帰り着けば、ようやくホッとできる時間。


私はコートを脱ぎ、椅子に倒れ込む。


「……あー。疲れた。今日はのんびりタイムにしよ」


武器屋からの帰り道も、家の雰囲気も、全部いつも通り。


――けれどその頃、王宮では。


私たち三人がのほほんとしている裏で、

大臣たちが慌てふためき、国王が渋面で書類を読み……

国の基準を変えるかどうかで激論が始まっていた。


そんなことなど露知らず――

私はクッションに顔を埋めてぐでーっと伸びていた。


「……ふわぁ。マキビシ、まだ危ないから箱に入れとこ」


平和だ。

私だけものすごく平和だ。

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