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階段から転落して思い出しました!89歳まで生きた私、今度の人生は異世界で半島領の次女です  作者:


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食は進め、人は集まる

養殖化計画と氷室建設の予算が正式に降りたらしく、工事は一気に動き出した。


土木班、資材班、設計に関わる学術員。

今まで点だったものが、線になって繋がり始めた感じ。


――いやほんと。

食べ物の力って、恐ろしや〜。


生きるのに直結しているからか、皆の動きが早い早い。


そんな中で、最近ちょっと気になる事がある。


見慣れない人達が、ちょこちょこ目につくのだ。同じ国のはずなのに、服の仕立てや色合いが微妙に違う。


地方差、ってやつだろうか。


向こうから見れば、私達の服装だって「変わって見える」んだろうけど。


彼らは観光、という雰囲気ではなく、かなり熱心に現場を見回っている。


工事の進み具合。使われている道具。

作業の分担や流れ。


――視線が、明らかに“学ぶ側”のそれ。


「あー……情報、広がってきたなぁ」


悪い気はしない。


全体的に技術が底上げされて、住みやすい世界になっていくならそれはそれで、悪くない。


便利なものが増えて、食べ物が安定して、冬も夏も少し楽になる。


誰か一人だけが抱え込むより、広がっていく方が、きっと長持ちする。


まあ、その分――

ややこしい人も、増えるんだけどね。


それでも。


今は、工事が進み、人が集まり、領地が“動いている”この感じを。


少しだけ、楽しんでおく事にした。

そんな事を考えていたら、ふと頭に浮かんだのは――ニジニジ魚。


養殖の話は動き出したけど、肝心の「どう食べるか」は、まだ模索中。


「よし。燻製、試作してみるか!」


……とは言ったものの。


実際に燻製なんて、やった事がない。


記憶の片隅には、「桜の木のチップが香り付けに良い」なんて知識はあるけど。


「……桜の木、無いわよね」


そもそも、この世界で桜があるかも怪しい。


ならどうするか。


「もう、片っ端から試すしかないわね」


硬すぎない木。

香りが強すぎなさそうな木。

火をつけた時に変な匂いがしない木。


候補をいくつか集めて、小さく割って、チップ代わりにする。


燻製箱……と言うほど立派な物じゃないけど、

即席でそれっぽい物を組み立てて。


弱火で、じっくり。


煙が立ち上るのを見ながら、

ちょっとだけ不安になる。


「……これ、毒とか出ないよね?」


まあ、考えても仕方ない。


出来上がったら、まずは私が匂いを嗅ぐ。

次に、少しだけ味見。


――うん。


これはアリ。

これは……微妙。

これは、香りが強すぎ。


結果は見事にバラバラ。


「よし。これは皆に食べてもらお」


結局、一人で決めるより、何人かに食べてもらって意見を聞くのが一番だ。


美味しいと思う基準は、人それぞれ。


片っ端から試して、残ったものが“正解”。


ニジニジの燻製、まだまだ試行錯誤は続きそうだけど――


こういう実験みたいな事、嫌いじゃないんだよね。


ちょっとだけ、楽しくなってきた。

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