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階段から転落して思い出しました!89歳まで生きた私、今度の人生は異世界で半島領の次女です  作者:


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試験運用はいつものこと

学術員さんの話では、人工孵化や養殖方法についての登録は、すでに機構に存在しているらしい。確かに……私も、そんな話をどこかで聞いた覚えがある。


養殖方法は、池をいくつも作って段階的に育てるやり方。まあ、これは正直、想像の範囲内ね。


ただ、学術員さんの提案は、少し踏み込んでいた。


「川ごと、養殖場にしてはどうでしょうか」


さらに、人工孵化用として“擬似川”を造る案まで出てきた。


――うん。考えるの、面倒。


というわけで、そのままお母様に丸投げした。


学術員さん自身も、実際に魚を育てた経験はないらしく、完全に手探り。だから、機構にお金を払って、さらに詳しい資料を取り寄せることになった。


「まあ……まだ試験段階ね」


こういうのは、いつものことだ。

最初から完璧なんて、期待していない。


ただ――


「お魚は一匹、拝借していこうかしら」


せっかくなら、味の確認もしないと。


「ムニエルでも作りましょう」


それに、お母様にも試食してもらわないと、後々うるさそうだし。


「“美味しい”って言わせておけば、予算も通りやすいしね」


そう考えながら、私は魚の入った籠を見下ろした。


さて――この魚も、この領地の“新しい名物”になるのかしらね。


「お魚養殖化計画は、これで丸投げ出来たかな?」


メイヤは一息つき、肩をぐっと回した。


「さーて。お風呂でも入りに行きますか〜」


――楽ばっか?

いやいや。今日は遊びじゃない。


「今日は新開発の石鹸の試しを、仕方なく、ね?」


そう言いながら手に取ったのは、白く整えられた石鹸だった。


「香りは……うん。前より大分良くなったわね」


鼻先に近づけ、軽く息を吸う。


「これなら有りだなぁ。最初のやつは正直、洗剤感強すぎだったし」


手を濡らし、泡立ててみる。


「……おっ」


泡はきめ細かく、すぐに広がった。


「うんうん。いい!泡切れも悪くないし、変な油残りもない」


指先を確かめながら、満足そうに頷く。


「これもお母様に使って貰わんとね」


そう呟いて、メイヤは浴場の湯気の向こうへと歩いて行った。


次々と生まれる“新しい日常”を、試すために。

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