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階段から転落して思い出しました!89歳まで生きた私、今度の人生は異世界で半島領の次女です  作者:


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世界商品登録機構へ

王都の外れ、巨大な石造りの建物。その正面に掲げられた看板には――


《世界商品登録機構》


アイデア、設計図、現物……一体どこまで登録できるのか。

気になって仕方のない私は、ついに“ババア”こと登録官の元へ確認しに来たのだ。


「身分証を確認します」


門番に提出した瞬間――。


「……っ!? し、少々お待ちを!」


ギョッとした顔で奥へ走り去った。え、何? そんなに怪しい身分だったっけ私?


ほどなくして、ババア本人がダダダッと走ってきた。


「ちっこいの!! あんた、もうこの登録証明書が役に立つとね!?」


ババアは私の肩をガシッとつかむと、半ば引きずるように機構内部へ案内した。


机の上に、私が持ってきた書類と設計図がずらり並べられる。


・簡易手押しポンプの構造図

・天然酵母づくりの実験手順

・九九表の下書き

・簡易そろばんの斜視図

・度量衡の統一表案


ババアは一枚一枚、じっくりと目を細めて読み込んだ。


「ふむ……ふむふむ……なるほどねぇ」


「アイデアだけでも登録できるの?」


「できるさ。ただし条件はいろいろあるよ」


ババアが指を一本立てる。


「まず簡易手押しポンプと簡易そろばん。これはうちの専属工房で一度“再現”させるよ。うまく動いたら登録ね」


よっしゃ!


「天然酵母の実験手順。これは調理工房で試す。これも上手くいけば登録だよ」


よっしゃよっしゃ!


「ただ、度量衡の統一表案。これはすぐには判断できん。他の部署とも協議が必要だから預かりね」


まあこれは仕方ない。


「ちっこいの、これが全部登録できたら……あんたんとこの領地、もっと金が入るよ!」


「よし! じゃあすぐ領地に工房作らないと! 器具も人も――」


「ちっこいの、あんた……ちょっと勘違いしてるね」


「え?」


ババアはニヤリと笑った。


「委託製造だよ」


「……へ?この世界にもあるの!?」


「そりゃあるさ。作る場所はどこでもいい。ただし――」


ババアは指を二本目立てた。


「材料が手に入る。人件費が払える。生産が可能で使用料金を払っても赤字にならない。その上で利益が出るなら、どこの工房だって委託を受けるのさ」


さらに三本目。


「けどね、魚が取れない土地で魚の加工はできないだろ? そんなもんさ」


めっちゃ合理的……!

ていうか普通に近代的システムじゃん……!


「だから、あんたの領地で全部造る必要はない。むしろ適材適所で委託した方が儲かるかもしれないよ」


「……それ、もっと早く教えてよ!」


「聞かれなかったからねぇ!」


ババアは愉快そうに笑った。


こうして私は、アイデアが“世界商品”として動き始める仕組みを初めて知ったのだった

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