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階段から転落して思い出しました!89歳まで生きた私、今度の人生は異世界で半島領の次女です  作者:


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それぞれの持ち場

ふぅ……さて。


ナータは運行表を一度なぞり、軽く頷いた。


「今日の運行予定は……」


まずは港へ物資輸送。

荷を降ろしたら、そのまま砂鉄を積み替えて鉄鋼場へ。

木材関係は――今日は無し。


「……よし」


レバーを握り、前を見据える。


「出発進行!!」


しゅしゅしゅ――。


蒸気を吐きながら、機関車は滑るように走り出した。

特別な日ではない。だが、止まらず、滞らず、回っている。

それだけで、今は十分だった。



一方、朝の訓練場。


リディアは汗を拭いながら、剣を構える。

周囲には、こっちに移住してきた同級生たちの姿。


言葉を交わしたわけではない。

だが、朝になると自然と集まってしまう。

それは昔からの癖のようなものだった。


「間合い、近い」


セリアの落ち着いた声が飛ぶ。


「踏み込みはいいけど、戻りが遅いわ」


「はい!」


最近は、セリアが訓練の指揮を執ることが多い。

日によっては、近衛隊の面々も混ざる。


剣が交わり、足音が重なり、

ここでもまた、何かが“当たり前”になりつつあった。



機構の支店では。


「次、こちらお願いします!」


「はい、確認します」


機構隊長は、机に積まれた申請書を淡々と捌いていく。

物流、建築、人員募集、職人手配――

内容は様々だが、共通しているのは一つ。


動き始めた、という事実。


忙しい。だが、嫌な忙しさではない。


「……ようやく、回り出しましたね」


誰に言うでもなく、そう呟いた。



そして近衛隊長。


「……平和だな」


物見櫓の上で、日差しを浴びながら大きく伸びをする。


特に緊急案件は無し。

巡回も最低限。

剣を抜く必要もない。


「暇なのが一番だ」


そう言って笑い、

また次の巡回まで、しばし自由を満喫するのだった。



誰かが声高に宣言したわけではない。

だが――


港も、訓練場も、支店も、物見櫓も。

それぞれの持ち場で、それぞれが役割を果たしている。


それは、復興の音でも、勝利の凱歌でもない。


けれど確かに、この日常こそが、前へ進んでいる証だった。

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