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階段から転落して思い出しました!89歳まで生きた私、今度の人生は異世界で半島領の次女です  作者:


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即断即決の領主様

「こんにちは。あのー……」


「何だ?」


「私の名前は――」


「あー、男爵か?そういう名乗り、めんどくせー!」


一刀両断だった。


「見た感じだと、一番遠くて木材加工が得意な所だろ?」


「は、はい!そうです!」


「じゃあ早速だ。この寸法に合わせた木材を運んで来な!」


アステリアは机に叩きつける様に図面を出す。


「支度金、金貨五十枚渡しとく。木材は届き次第、その分はきっちり金払う!」


「え!?よ、良いのですか?」


「良いも悪いもねーだろ?港、さっさと復興しねーとどうにもならんだろ?」


「……ありがとうございます!早速手配します!!」


男爵は深々と頭を下げ、駆け出していった。


――――――


「アステリア・ロウル様はこちらにいらっしゃいますか?」


「おー。何だ?ちびっ子……?」


アステリアはじろりと少年を見る。


「……まさかオメー、農業が強い所か?」


「は、はい!そうです!」


「これ! 若!ちゃんと名乗らないと!私、筆頭執事の――」


「そういうのも、めんどーだ!!」


即座に遮られた。


「ほら!支度金、金貨五十枚!」


「へ?」


「小麦やら何やら、そっちの港に山積みになってるだろ?全部持って来い!!」


「ぜ、全部ですか!?」


「全部だ!!全部俺が買い取る!」


「ありがとうございます!お姉ちゃん!!」


「……お姉ちゃん?」


「こ、これ! 若!大変失礼しました!!」


「お姉ちゃん……」


アステリアのこめかみが、ぴくりと動いた。


――――――


「ここにロウル家の領主がいるって聞いたんだけど!呼んでくれる?」


「俺がそうだが?」


「……おっ!女領主!?」


「オメーも女領主だろ?何か文句あっか?」


「チッ!文句は無いわよ!」


女領主は腕を組み、真正面から睨み返す。


「ほら。支度金、金貨五十枚だ」


「……は?」


「畜産が有名なんだろ?畜産っても何が居る?」


「うちは、馬、肉牛、乳牛、豚、山羊よ!! なんか文句ある??」


「ねーよ」


アステリアは即答した。


「前に王都に持って来る予定だった畜産、全部連れて来い」


「……へ??」


「連れて来たら、うちが全部買い取る!!」


「……っ!」


女領主は一瞬目を見開き、次の瞬間、にやりと笑った。


「解ったわよ!!舐めんじゃ無いわよ!!

直ぐに運んで来るわよ!!」


嵐の様に去っていく背中を見送りながら、部下がぽつり。


「……何なんですか、あの喧嘩腰の態度は?」


「ん?」


アステリアは肩をすくめた。


「あー。多分だが――同族嫌悪ってやつじゃねーか?」


「なるほど……」


港の復旧は、どうやら怒鳴り声と即決で進んでいく様だった。



アステリアは腕を組んだまま、瓦礫だらけの第1地区をぐるりと見渡した。


「……」


港、倉庫跡、崩れた建物、放置された資材。

復旧の余地はあるが、放っておけば腐る場所だ。


「それとだ」


不意に声を上げる。


「あそこ、片付けるのに頭数が相当要るな」


部下が即座に背筋を伸ばす。


「はい!」


「機構経由でも、直募集でも構わねー。人手、募集掛けろ!」


「了解です!」


「それと機構にはな――」


アステリアは指を一本立てる。


「建築系の組合か、職人を手配する様に頼め。

素人だけ集めても時間の無駄だ」


「承知しました!すぐに伝えます!」


部下は走り出した。


アステリアは一人、瓦礫を踏みしめながら鼻で笑う。


「ふん……人、物、金」


視線の先には、さっきまで静まり返っていた第1地区。


「全部揃えて、初めて“復旧”だ」


拳を軽く鳴らす。


「さーって……」


アステリアは大きく伸びをした。


「さっさとやらねーとな!」


港の片隅で、再び歯車が音を立てて回り始めていた。

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