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階段から転落して思い出しました!89歳まで生きた私、今度の人生は異世界で半島領の次女です  作者:


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世界商品登録機構と“ババア”たち

王との謁見を終え、緊張がほどけたメイヤとレティアは、王城の大理石の廊下を歩きながら大きく息を吐いた。


「や、やっと終わった……」

「倒れなくてよかったです……」


肩の力が抜けた二人の背を、セレステが軽く叩く。


「ほらほら!安堵してる暇はありませんよ!王様から頼まれてる用件が残ってますからね!」


「えぇぇ……まだあるんですか……?」


「あるわ。世界商品登録機構よ。書類関係は全部あそこでやらないといけないの」


セレステは当然のように言い、二人を引っ張った。


 


■世界商品登録機構へ


王都の中心街にそびえる巨大建築物――白亜の壁に青い屋根、門番が二人立ち、出入りする商人は皆、身分証を掲示していた。


「すごい……王城かと思いました」

「王城より厳重じゃないか……?」


「当然よ。ここは“世界中の産業の心臓部”だから」


セレステの解説に、メイヤとレティアはさらに緊張する。


中へ入ると、壁一面に並ぶ棚、積み上がった書類の山、走り回る職員たち。

混沌の中に秩序があるような、まさに官僚の巣窟だった。


「さて……クロスボウ四百丁の特別注文。その確認をしないとね」


セレステは受付に向かい、職員に言った。


「トップを呼びなさい。“ババア”をね」


職員は一瞬固まり、目を白黒させた。


「こ、ここの最高責任者を……あの……その呼び名で?」


「そうよ。伝えなさい。“セレステが呼んでる”ってね」


職員が震えながら奥へ走っていく。


数分後。


ズカッ、ズカッと音を立てて、年配の女性が姿を見せた。

背筋はピンと伸び、濃い灰色の髪をきっちりまとめ、目つきは鋭い。


「誰だい?私を“ババア”呼ばわりするのは」


「私よ、ババア」


「セレステかい、ババア」


二人の間に、目に見えそうな火花が散った。


(こ、怖い……!)

(ババア対ババア……!)


メイヤとレティアは身を寄せ合った。


 


■最高責任者“ババア”の査定


「で?今日は何用だい」


セレステがクロスボウの注文書を差し出す。


「四百丁の正式受注の確認よ。それと――」


「この二人を登録してやっておくれ」


年配女性はメイヤとレティアをじろりと見た。

視線が刺さるようで、二人は思わず姿勢を正す。


「ん?こっちのちっこいの……」


指さされたのはメイヤ。


「これを開発したのはお前さんか?」


「は、はい……一応……」


「ふん……やっぱりね」


老女はニヤリと笑い、机を叩いた。


「職員!このちっこいのを、ここの情報が見られる“閲覧許可者”に登録しな!推薦人はそこのババアでいい!」


「かしこまりました!」


メイヤは目を丸くした。


「えっ……わ、私がこんな施設の閲覧を……?」


「気にすんじゃないよ。将来、ここで厄介になるね、あんたは」


(な、なんか察されてる!?)


レティアの方を見ると、老女はさらにニヤついた。


「お前さんは……そうだね。武器屋に紹介状を出しておくよ。長剣と短剣を買いな」


「えっ!?どうして私に?」


「どうせ必要になるよ。いずれね。若い芽には道具がいる」


そして去り際、振り返る。


「領地には私から早馬で知らせておくから!じゃあね、ババア!」


「そっちこそ、気をつけて帰りなさいよ、ババア!」


バチバチバチッ!


老女とセレステは再び火花を散らしながら別れた。


■紹介状を手に武器屋へ


「ほら、次は武器屋よ。紹介状があるうちに行かないと」


セレステに押され、三人は老舗の武器屋に入った。

カウンターの奥から店主が出てくる。


「いらっしゃ――って、なんだこの紹介状は!?

こ、こ、これは……“あの人”の!」


店主は紹介状を持つ手を震わせ、三度見した。


「失礼しました!既製品などでは到底ダメです。オーダーメイドで作らせて頂きます!」


レティアは慌てふためく。


「オ、オーダーメイドなんて……!」


「太刀筋を見せてもらえればすぐ決まる!さあ庭へ!」


「えぇぇぇぇ……!」


メイヤも巻き込まれ、短剣の選定を受けることになった。


「ちっこい方は軽めの短剣だな!ほら振ってみろ!」


「ふ、振るんですか!?ここで!?」


「ここは武器屋だぞ!」


王都の武器屋は想像以上に豪快だった。


■セレステ邸へ


武器の注文が終わると、夕暮れが迫っていた。


「さて、泊まるところを決めないとね」


とレティアが言うと、セレステは軽く手を挙げる。


「ミュネも一緒なんだし、うちに泊まりなさい。どうせ私は学園の寮で寝泊まりしてるし、家は空いてるから」


言われて案内された家は――


「で、でかい……!」

「領主館より大きいですよ……!」


まさに大貴族の邸宅だった。


「遠慮しなくていいわよ。明日から学園でしょ?初日から遅刻はダメよ?」


「……が、がんばります……!」


二人は緊張に包まれながら、その夜を迎えるのだった。

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