表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
階段から転落して思い出しました!89歳まで生きた私、今度の人生は異世界で半島領の次女です  作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/257

王城での謁見!震える2人と、両親の黒歴史が炸裂!?

王城の大広間――。


メイヤとリディアは、まるで石像のように固まっていた。


「ど、どうしようリディア……歩き方おかしくなってない……?」


「わ、わかんない……膝が震えて……砂糖菓子みたいになってる……!」


その背中を押すように、セレステ学園長は呑気に笑った。


「まぁまぁ、緊張しすぎよ。ほら、胸を張って。陛下は怖い人じゃないわ。昔からね」


「昔から……?」


メイヤが問いかけたが、セレステは意味深に微笑んだだけだった。


◆◆◆


謁見の間。


王座のある玉座の間へ通され、2人は息が止まりそうになる。


広い……輝く……なんか王様のオーラがすごい……!


玉座に座るのは五十代前半ほどの男性。柔らかい目元、威厳を湛えた佇まい。

しかし、その視線は優しかった。


「面を上げよ。……ほう。お前たちがアルトリウス家の娘か」


メイヤとリディアは慌てて頭を上げた。


「は、はひっ!!」

「よ、よろしくお願い、します!!」


緊張で噛みまくりである。


セレステは横で苦笑し、陛下へ頭を下げる。


「陛下。こちらが件の“クロスボウを作った”娘たちです」


王様はうむ、と頷くと、近衛兵が恭しく布に包まれた品を運んできた。


布を払うと――

そこにはメイヤが作ったクロスボウが置かれていた。


「……見事だ」


王様は低い声で言った。


「セレステから話は聞いておったが……これほどとは思わなかった。機構、構造、威力。全てが並外れておる。これを10歳にもなってない娘が作ったというのか」


2人はぽかんとした。


「しかも、すでに世界商品登録機構に登録されているとな?」


ぽかん×2。


メイヤは小声でリディアに囁く。


「……なんで王様の方が詳しいの……?」

「し、知らないよ……!」


ふたりの唖然を楽しむかのように、陛下は口元を緩めた。


「近衛隊長から申し出があってな。“大人用クロスボウを400丁、正式に発注したい”と。……アルトリウス家に伝えておけ。至急準備をと」


「よ、よんひゃく……!?」


メイヤの声が裏返る。


「し、父様気絶しませんか……?」


「むしろ喜ぶじゃろう。あの男は昔から、何かと“巻き込まれ貴公子”だったからな!」


「……へ?」


王様は突然きらきらした目になった。


「ほっほっほ! アルトリウスとは学生時代の同級生でな。アイツは学園の揉め事に勝手に巻き込まれては、毎日違う派閥に追い掛け回されておった。あれはもう“事件磁石”というほかなかったわ!」


メイヤは心の底から思った。


(……お父様、そんな二つ名があったの……?)


衝撃でリディアの肩が震えている。


王様はさらに続ける。


「そしてお前たちの母、セリア。あいつは――」


軽く咳払いして、懐かしそうに言い放った。


「“鉄拳聖女”と呼ばれとった」


メイヤとリディアは同時に声を失った。


「せ、聖女……?」

「鉄拳……?」


セレステが横で吹き出しそうになっている。

王様は少し頬をかきながら、遠い目をした。


「……儂を殴ったことがある」


「ええええええええええ!!!??」


謁見の間が揺れた。


陛下は苦笑混じりに思い出す。


「儂は当時まだ若くてな。ちょっと調子に乗って失礼な真似をしたのだ。そしたらセリアが“王族でもダメなものはダメです!”と拳を振るってきて……なっ、殴ったな! 儂を殴った者など、祖父母と父上と、メイド長と近衛隊長しかおらんのに!」


セレステが冷静にツッコむ。


「……結構殴られてますわね陛下」


「そうなのだ! 儂の周りはなぜか強い者ばかりだった!」


メイヤもリディアも、ただただ大混乱である。


(お母様……すごすぎる……)


(なんでその血が私たちに……!?)


王様はふっと真顔に戻った。


「だがな――あの2人は、立派な者だ。今も領地のために全力で働いているのだろう?」


メイヤとリディアは姿勢を正す。


「はい!」


「領地の開発も、住民の暮らしも、上手くいっていると……!」


「うむ。それを聞けて安心した」


陛下は少しだけ声を柔らかくした。


「セレステから話は聞いておる。お主たちが試験で出した偉業、それに対する“くだらぬ異議申し立て”の件もな」


2人の表情が曇ると、王様は静かに首を振った。


「気にする必要はない。お前たちは正しい努力をし、正しい成果を出した。それを妬む者の声など、いずれ消える」


言葉には王としての重みと、ひとりの大人としての優しさがあった。


「メイヤ、リディア。お前たちは――」


王様は玉座から身を乗り出し、まっすぐに見据えた。


「“正しいと思う道を行け”。身分に左右されず、恐れず、胸を張れ。お前たち2人は、それができる子だ」


胸の奥が熱くなる。


メイヤもリディアも、自然と涙が滲んだ。


「……はいっ」

「陛下の言葉、決して忘れません!」


王様は満足げに頷いた。


「よし。では2人とも、これからの学園生活を楽しめ。半年ほど王都に滞在するのだろう? 存分に学び、遊べ」


セレステが横から笑う。


「もちろん、私がしっかり監督しておきますわ」


王様はふっと笑った。


「……それが一番不安なのだがな」


「陛下、酷い!」


謁見の間に温かい笑いが広がった。


こうして――

メイヤとリディアの王都での新たな日々が幕を開ける。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ