セレステ学園長の暴露と、王様からのご指名!?
学園長室に通されたメイヤとリディアは、緊張で背筋を伸ばしていた。
しかし――そこにいた人物を見た瞬間、
「「えぇぇぇぇぇぇ!?!?!?」」
2人は揃って素っ頓狂な声を上げた。
「やっやっぱ!セ、セレステさん!?どうしてここに……!?」
「ていうか、なんで学園長!?いつの間にっ!?」
涼しい顔のセレステは、しれっと言った。
「あら? 言ってなかったかしら? “私、ここの学園長なのよ”って」
「言ってません!!」
2人のツッコミが同時に入る。
セレステはくすっと笑い、優雅に椅子へ腰かけた。
■異議申し立ての理由は……まさかのクロスボウ!?
「さて本題。異議申し立ての理由だけど――」
セレステは机に指をトントンと叩いた。
「あなたたちが実技で使った“クロスボウ”。あれよ」
メイヤとリディアは思わず顔を見合わせる。
「えっ……でも危険性も説明したし、規定にも触れてないはず……」
「選択武器は自由って書いてあったよね?」
「そう。規定違反ではないわ」
セレステはニッコリ笑った。
しかし、次に口を開いたとき――
その笑みには毒が含まれていた。
「問題なのは、あなたたちじゃなくて……“周りの大貴族様”よ。地方の貧乏男爵家の子供が、満点だの歴代記録更新だの……露骨に嫌う連中がいるの」
「……なんでそんなことで?」
「“自分たちを脅かす存在が出るのがイヤだから”よ。バカバカしいわよね?」
セレステは机に突っ伏した。
「はぁ……ここは教育機関よ? 初代国王様が“身分問わず平等に学べる場を作る”って建てた学校なのに……大人の事情ばっかり持ち込んでくるのよこの国……」
リディアが控えめに手を上げた。
「えっと……それで、異議申し立てはどうなるの?」
「放っておきなさい。半年以内に“向こうが勝手に消える”から」
「えっ!? 半年で!?」
メイヤは驚いて身を乗り出す。
セレステはあっさりと告げた。
「今回の件で、どの派閥が裏で動いたか全部わかったわ。王様派と反王様派、あからさまに分かれているのだけど……私は王様派。あなたたちの両親もね」
「私たちは……何かすることあるの?」
「特にないわよ。あなたたちは“正しいと思うことをやる”。それだけでいいの」
セレステは2人の頭をぽんぽんと叩いた。
「ここは身分関係なく学ぶ場所。それを崩そうとする連中には……制裁を加えるだけよ」
怖い笑顔で。
■母の逃亡と美魔女の悲哀
「そういえば……私、奥様のセリアにも何か言いたいって……」
セレステはふいに頬を膨らませた。
「あなたたちのお父様に、“セリアちゃんにも挨拶したいわ”って言ったらね……」
「言ったら……?」
「“美魔女には会いたくない!!”って全力で逃げてったのよ。ひどくない!?」
メイヤとリディアは同時に苦笑した。
(お母様……気持ちはわかるけど……)
■そして突然の、王様からの召喚
セレステは咳払いし、真顔に戻った。
「で、本題その2。あなたたち、準備してね」
「準備?」
「クロスボウを持って――王様に会いに行く準備よ」
「「は!?」」
声が揃って裏返る。
「な……なんで王様に!?」
「私たちまだ入学すらしてないのに!?」
「だって受験には“王様直属の近衛”が変装して紛れ込んでいるのよ。あなたたちの試験、しっかり見ていたわ」
メイヤの背筋が凍る。
リディアも顔を真っ赤にして震えている。
セレステは肩をすくめた。
「クロスボウの精度と威力……あれを見た近衛兵が“陛下に報告すべき武具”と判断したの。だから、近いうちに“王城への招集”が来るわ」
「そ、そんなぁぁぁ……!」
「緊張して胃が痛い……!」
2人は同時に椅子の上で縮こまった。
セレステは楽しそうに笑った。
「大丈夫よ。王様はね……あなたたち2人にとても興味を持ってるわ。悪い話じゃない」
その時――
扉をノックする音。
「失礼します! 学園長様、王城より“至急の連絡”が……!」
メイヤとリディアが固まる。
セレステがゆっくり振り向いた。
「ほら、言ったでしょう? 来たわよ。王様からのお呼びが」
⸻
そして――
メイヤとリディアは人生で初めて、王様と対面することになるのだった。




