建前と本音と説明役の重責
ナータさん、か……。
同盟中で敵じゃないのは理解してる。
それは間違いない。
でも――
そもそも、何でうちに?
伯爵家から男爵家へ。
逆なら理解できる。学ばせる、支援する、管理する。でも「来る」方向が違う。
この世界特有の何か……?
一人で考えても埒が明かない。
こういう時は――
「……両隊長に聞くか」
こんこん!
「たのもーーー!!」
扉を開けると、そこには。
「……?」
パナーさんと秘書ーズが、ぐったり。
「ん?どうしたの?こんな所で全滅して」
慌てて機構隊長が前に出る。
「い、いや!!ちょっと忙しくてな!?俺から無理言って、3人に頼んだんだよ!手伝ってくれって!」
「あー……そう言えば、隊長さんからのご紹介だったわね」
「でも、あんまり無理させちゃダメよ?」
「おう!!」
(※心の中で「お前が原因だ」と叫ぶ4人)
「ところで、どうした?ここに来るなんて珍しいな?」
「相談……というか、報告」
「ナータさん。運転士の試験を受けたわ」
「……は?」
「伯爵の娘が?何で??」
「いや、私が聞きたい」
「そもそも、伯爵家から男爵家へ学ばせるって、どういう事?」
「…………」
機構隊長が少し考えてから。
「んー……建前、かな」
「建前?」
「知っての通り、今は絶賛の内乱中だ。エドラン領主は完全に国王派として進軍してる」
「ボスが前線に出てる間に、家族を……って事もある」
「避難先、って意味合いだな」
「……わざわざ男爵家へ?」
「敵もな。“まさか格下へは行かんだろ”って思う」
「あー……」
「確かに」
「じゃあ、戦いの情報は?」
「ん……解らん。でも隠してる訳でもないしな」
「そうね」
近衛隊長が腕を組む。
「話しておいた方がいいかもな。ざっくりだけ」
「ざっくりって、どこまで?」
「……船に関する事は全部」
「俺達も陸路でしか考えてなかった」
「変に勘ぐられて、船の件で騒がれても困るしな」
「急に“連れて行け”って言われても、足手纏いだ」
「うーん……」
機構隊長が苦笑する。
「お前が貴族嫌いなのも解るよ」
「ナータさん。ザッ!貴族だからな。見た目も雰囲気も」
「……まあ、そうね」
「その辺は、お前に任せる」
近衛隊長も頷く。
「変に勘ぐられるよりは、その方がいい」
「……解った」
メイヤは一つ息を吐いた。
「私から話すわ」
建前で守られてきた距離。
それをどう越えるか。
――説明役という、一番面倒で、一番大事な役目が、静かにメイヤの肩に乗った。




