面接官と受験者の普通じゃない再会
確かに募集は出ていた。
運転士――ってやつね。
受付の人に聞いてみると、誰でも受験可能。費用なし。
「……ふーん」
とりあえず、受けてみるか。
試験中……
(…………)
(………………)
(………………はっ)
――終了。
結果。
合格。
「身構えたけど……私に掛かれば、あの程度なんて事ないわね」
胸を張るナータ。
「後は面接か……」
…………
…………
「……遅い」
私を待たせるなんて、何様よ!
※いまいち抜けきらない貴族気質。
「はーい!お待たせしてすみません!」
「……?」
顔を上げた瞬間。
「……え?」
「……え?」
「……メイヤさん?」
「……ナータさん?」
「「なんでー!?」」
完全に同時だった。
メイヤは慌てて手元の名簿を見る。
――ナータ。
書いてある。間違いなく書いてある。
まさか本人そのものとは微塵も思ってなかった……!!
一方ナータも、内心大混乱。
年下の面接官!?しかもメイヤさん!?
……おもっきり見とる!別に隠した記憶も無いし。悪い事もしてないし……
「……ご、合格です!!」
「では私はこれで!!!」
立ち上がろうとするナータ。
「待って下さい!!」
「何故、メイヤさんが面接官なんですか?」
「えっ……?」
「えっと……うちの領内、万年人手不足で……」
「お母様から『やりなさい』って言われて……」
何言ってんだ私!?
「……お母様?」
「はい……渋々というか、嫌々というか……」
「お母様?変装してさっきカフェで見た事ない物食べてましたけど?」
「えぇ……」
「何しとるんだ!!外でコソコソ食べてたんかーい!!」
(※心の中で全力ツッコミ)
「まあ……そうなんです。お母様ったら、私に全部押し付けて……」
「…………」
ナータ、じーーーーっとメイヤを見る。
「……」
「……合格ですので。蒸気機関車の所で運転の練習を……では!!」
そそくさと逃げる様に立ち去るメイヤ。
「……怪しい」
間違いなく怪しい。確かお父様の文にも“メイヤさんには注意せよ”って……
「まあ……合格したみたいだし」
「練習、してみるか」
一方その頃のメイヤ。
「……ふぅーーーー」
「何で私がしどろもどろになるのよ……」
「別に隠し事してる訳じゃないのに……」
「はぁ……やっぱり貴族って苦手……」
ふと考える。
「ナータさんに……戦の事、話すべきなのかな?」
「それとも伯爵からもう聞いてる?」
「んーーーー……」
「それに……」
「運転士を受けたって事は……何か目的が?」
「謎、多すぎ……」
首を傾げながら、メイヤは溜息をついた。
――普通じゃない二人が、普通の面接で出会ってしまった。
そんな、少しだけ可笑しい一日だった。




