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階段から転落して思い出しました!89歳まで生きた私、今度の人生は異世界で半島領の次女です  作者:


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勘違いの正体

アステリア一同は部屋へ戻ってきた。


メイヤは相変わらず、にこにことした表情で一同を見渡している。


「思っていたより早くて助かります」


「褒めていただいて恐縮だ。一つ確認したい。この案を拒否した場合、我が領にマイナスはあるのか?」


「いえ。ありません。引き続き友好関係は続けたいと思っています」


「そうか。それは有難い。……では、この案は拒否する」


その言葉を聞いた瞬間、メイヤ以外の面々は「やはりな」と言いたげな表情を浮かべた。

この提案は、半ば脅しのようなものだと誰もが思っていたからだ。


「やはり、そうなりますよね〜」


だが、余りにもあっさりした返事に、アステリアの内心はざわつく。


「……随分と余裕のある返事だな」


「余裕なんてありませんよ。ただ、私から見ると――アステリアさんを含めて、そちら側が根本的な勘違いをしているだけです」


「……は?」


「では、この場で蒸気機関を数台、そちらに譲渡します」


「は??」


思わず声が重なった。


「今回の件で色々と再確認しましたが……いつの間にか、小型化された蒸気機関が完成していましたね。蒸気機関車と同型の改良型です」


「……何の話だ?」


アステリアは話の流れを完全に見失っていた。


「別にタルトさんを責める気はありませんよ?むしろ研究熱心で素晴らしいです!」


メイヤは勢いそのままに話を続ける。


「先ほど言った“根本的な勘違い”です。恐らく、船の両側に水車を付ける案か、後方に長い水車を付ける案を考えていますよね?」


「……」


「私なら、港での積み下ろしを考えて、後方に付けますね」


その瞬間、アステリアと、先ほど小型船を指摘した二人の技術者の視線が交錯した。


「ですが、私が考えているのは……その二つとは、まったく違います」


「は???」


「機構隊長にも確認しました。うちの領では、その二つの方式は登録できないと」


「ああ。先日、ロウル側からの申請は受理されている」


機構隊長がさらりと補足する。


「そして私たちは、別の“形”で申請しました」


「……あー。形が全然違うから問題なく通したな。理屈は分からんが、ロウル側の案の方がイメージはしやすかった」


「なっ……?」


アステリアの頭が追いつかない。


「どういうことだ……?根本的に違う?しかも我々の方が分かりやすい?」


「それは……どういった……」


「機構に問い合わせてください〜」


軽い口調だが、内容は重い。


「……なっ!……」


メイヤは一拍置いてから、声を張った。


「リディア隊長!両隊長!」


「はっ!」


「町の建築を全て中止!動ける人員を総動員!」


「漁村へ向けて、敷設隊を中心に線路を延ばします!埋め立て用の石材、そのほか資材の採掘を開始!」


「機構隊長!ドックってやつの設計図は?」


「はい!ロウル領の登録がありますので、建設可能です!」


「了解!必要な金額を、直ちにロウル領へ支払って!」


「了解しました!」


「ちょ、待て待て待て待て!」


アステリアが思わず叫ぶ。


横を見ると、先ほど指摘した技術者の一人が、両手で顔を覆い、声を殺して泣いていた。


「……俺か?俺なのか?俺が……断ったせいで……」


作るべき“時”を、呼び込んでしまったのは。


その場にいた誰もが、ようやく理解し始めていた。

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