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階段から転落して思い出しました!89歳まで生きた私、今度の人生は異世界で半島領の次女です  作者:


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邪魔をするなら全部まとめて

水路建設のお知らせ

作業員募集!

期間:1ヶ月程度

勿論、食事付き


掲示板を眺めながら、メイヤは満足そうに頷いた。


「よしよし!」


温泉計画は、確実に前へ進み始めている。

資材も、人手も、流れも――今は悪くない。


こんこん。


「どーぞ!!」


扉を開けて入ってきたのは、機構隊長だった。


「にゃにゃしてる所、悪いな」


「いいよ。どうしたの?」


「話すより、これを見てくれ。どう思う?」


差し出された紙を受け取り、目を通したメイヤの表情が、すっと真面目になる。


「……ん?」


地図、部隊配置、補給線、被害報告。

そして、進まない戦線。


「これは……」


「今の現状だ。打開策も今の所見つかっていない」


機構隊長は肩をすくめる。


「国中、疑心暗鬼。様子見と漁夫の利狙いばかりだ」


「確かに……」


メイヤは紙を机に置き、少し考えてから顔を上げた。


「ねえ、隊長さん。例えば、兵力、補給、資金――全部無視した場合、どうすれば解決すると思う?」


「……無茶な前提だな」


そう言いながらも、機構隊長は考え込む。


「うちの領地を軸に考えるなら味方ははっきりしてる。エドランとロウルだ」


「ふむふむ」


「ロウルから兵力を借り、エドラン軍と合流。そのまま王都へ進軍する」


「うん」


「様子見してた連中も、手柄を独り占めされたくなくて、慌てて動き出すだろうな」


「王道だね」


「相手は反乱軍だ。本来ならもう終わってるはずだった」


機構隊長の声が少し低くなる。


「だが、裏で操ってる奴がいる。決戦を避けて、遊撃戦を展開。補給地点と補給路を狙ってくる」


「敵を見せない、見させない」


「ああ。そういうやり方だ」


「んー……」


メイヤは顎に指を当てた。


「どっかを思いっきりぶっ壊せば、一気に流れが変わる的な?」


「まあ、客観的にはな」


機構隊長は苦笑する。


「王都周辺には近衛隊がいる。そことうまく合流できれば……とは思うが、状況が流動的すぎる」


「なるほどね〜」


メイヤは、ふっと息を吐いた。


「全く。私の計画を邪魔する輩は……排除したい」


「……」


「ねえ。その国内の反乱軍首謀者って、はっきりしてるの?」


「ここには情報が無い。だが把握してる連中はいるだろうな」


「誰が?」


「まず国王中枢。それと――」


少し間を置いて。


「うちのババア」


「なるほどね……」


メイヤは目を伏せ、すぐに理解した。


「まあ、私に話したって事は、お父様は知ってるのね」


「話は通してある」


「うーん……」


少し考えてから、メイヤは顔を上げた。


「お父様が私にって事は、これに関しては全て私に?」


「まあそうだろうな。何か打開策もあるのか?」


「何とも言えないって言ってるでしょ?」


「……まあ、そうだが」


「準備不足では、私は動かない」


メイヤの声は、妙に冷静だった。


「全部が揃って出来そうならの話。出来ないなら、即中止」


そして、ふと思い出したように尋ねる。


「おばあちゃんの所には、戦力あるの?」


「少しはな。恐らく今頃、立て籠もってるはずだ」


「解った」


メイヤは、ぴしっと指を立てた。


「じゃあ、これから私がやる事には、一切口出し無用。準備が不可能だと判断したら、その時点で中止。いい?」


「……変な言い方になるが」


機構隊長は肩をすくめた。


「期待はしてないよ。誰も」


「まあ、そうよね」


メイヤは軽く笑った。

だがその目は、既に別の場所を見ていた。


温泉計画の裏で、静かに、もっと危険な歯車が回り始めていた。

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