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階段から転落して思い出しました!89歳まで生きた私、今度の人生は異世界で半島領の次女です  作者:


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仮同盟の輪郭

「ナータ様!はぁ、はぁ……!」


「どうしたの?」


「大変な情報を仕入れて参りました」


「……これ以上に?」


「はい!ロウル領の件です」


「ロウル領?あの中立を謳っている?確か、この半島の先にある……」


「はい!どうやら、ここと内乱中は仮同盟を結んだと」


「はぁ?同盟??そんな話、発布されていないはずよ?」


「はい!勿論です!しかしながら、我が領も仮の同盟を結んでおります。内乱中ゆえ、こちらも発布はされておりません!」


「……そうか。内乱中だから、どこが敵か分からない。だから水面下で、ね」


「恐らく、我が領と同じ状態かと」


「でも、その話はどこから?」


「町で情報を集めていたところ、見慣れない服を着た数名を見つけまして。話を聞いたところ、ロウル領からの技術者だと判明しました!」


「……はぁ?技術者?ロウル領から?ここは、既に受け入れてるの?」


「そのようです!」


「待って……アステリア・ロウル?あの男装の……。まさか、領主本人がここに?」


「私は、アステリア・ロウル様を見たことはございません……」


ナータは、静かに目を伏せた。


私は……どこかで見たことがあると思っていた。でも“男装”だけに囚われて……。そこでも、私は見誤っていたのね。


「爺!お父様へ、この件を文にして出しなさい!それと、領内へ向けて、技術者をこちらに寄越すようにと!」


「……どの技術者を、でございますか?」


「…………分からない……」


自分の声が、少し弱くなったのが分かった。




「はぁ〜……気が重いな〜」


「隊長、しっかりしてくださいよ」


「そうですよ!」


「……よし。気合、入れるか!!」


「おはようございます、御三方」


振り返ると、そこに立っていたのはセリア、リディア、そしてアステリアだった。


「おはよう。どうしたの?隊長さん」


「えーっと……難民で仕事を求めている者を連れて参りました。二人とも読み書き計算ができ、剣術もそこそこ。リディア様とアステリア様の秘書などにと思いまして」


「秘書?私は必要ないかな?」


「俺も、部下が数名こちらに来ているからな」


「い、いえ……リディア様。何かとお忙しいでしょうし、隊長たる者、秘書が一人二人いれば、いざという時に頼りになりますよ!」


「あー……確かに、そう言われるとそうね」


「アステリア様も、この不慣れな地。気軽に聞ける秘書がいれば、お役に立てるかと!」


「……言われると、そうかも」


そこへ、セリアが一歩前に出た。


「あら〜!!二人ともいいじゃない!!私の見立てだと、この二人、かなりこの領地のこと詳しいわよ!」


「え?そうなの?難民さんなのに?」


「二人とも、事前に勉強してきたのよ〜! こ・ま・か・く・ね!!」


「……」


「まだ若いから、詰めが甘い所と、自意識過剰気味な点を除けば、かなり優秀よ。それに、私が色々教えられることもありそうだし」


「「「絶対にお前が犯人だろ!!」」」


と心の中で思う3人だった。


「それなら、二人とも是非お願い!」


「そうだな。俺も頼むぞ!!」


その場の空気が、一瞬だけ和らいだ。


だが誰も気づいていない。

この“秘書”という名の配置が、やがて各領の均衡を静かに揺らすことになるなど――。

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