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階段から転落して思い出しました!89歳まで生きた私、今度の人生は異世界で半島領の次女です  作者:


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浮かぶ道、動き出す歯車

浮桟橋は完成した。

アステリアさんにも最終確認をしてもらい、水深も再チェック。問題なし!


早速、沖合に姿を現したのは大型船。

ガレオン船風……いや、もう見た目は完全に海賊船だ。

もちろん海賊ではないけど。


どうやら国では、ガレオン船の設計・建造・修繕に関わっている人達を中心に、数名の技術者と料理人まで連れて来たらしい。

到着早々、荷物の積み下ろしが始まる。


馬車をそのまま乗せても、浮桟橋はびくともしない。

この時点で、来たばかりの技術者達の目が変わった。


波の動き、浮力の分散、固定方法、改良点。

質問が止まらない。

やっぱり海の事に関しては、彼らの方が専門家だ。学術員とも話が合いそうだし、今後は色々と連動していきそうな予感しかしない。

うん、またいい流れが出来たわね。


荷を降ろした一行は、そのまま領都へ。

領都の外れ、工場群の近くにロウル領専用の住居を用意してある。

一緒に生活してもらった方が、何かと便利だと思って。


荷物の中には、お父様宛の箱もあった。

友好の証……的な?

まあ私は政治に関わる気はないから、そこは丸投げ。完全に丸投げ対応で。


そして敷設隊も、気がつけば残り最後の区間。森の近くを引けば、ついに終わり!


ここだ。

ここから、やっと温泉計画がスタート出来る!


それに使うU字溝の備蓄も、かなり溜まった。

線路のお陰で、今まで使っていた荷馬車にも余裕が出る。

その分を、温泉計画の輸送に回せばいい。


ふぅー……長かったわ。


でも、ようやくここまで来た。

浮かぶ道は完成し、歯車は確実に回り始めている。



あれから何度も領都に出て、歩き、眺め、話を聞き、観察を続けている。けれど――何も発見出来ない。


隠している様子すら、無い。

不自然な動きも、警戒も、制限も無い。


……何故?私は、一体何を見落としているの?


「ナータ様!ナータ様!」


急ぎ足で駆けて来た爺に呼ばれ、思考を中断する。


「如何したの、爺!」


「解った様な気がします!」


「……何が?」


「あの串焼肉屋の隣、覚えてますか?」


「あー!中々の美味わよね?」


「はい!じゃ無く!隣の空地です!」


「……あー。確かに。何かお店でも建てる様な感じだったわよね?」


「それです!それ!」


「……はい??」


「もう、建ってます」


「…………はぁ?」


「確かまだ更地じゃ無かったかしら?」


「それは二週間ほど前のお話です」


「今はもう、開店準備をしております!!」


一瞬、言葉を失う。


「……建物って、そんなに早く建つものなのね?何をそんなに大袈裟な……」


「違いますぞ、ナータ様!」


「爺の声が、珍しく強い」


「私も詳しくはありませんが、普通はそんな速度では建ちませぬ!最低でも二ヶ月は掛かります!」


「……え?」


「じゃあ、どうしてそんなに早く?」


爺は一拍置き、低い声で続ける!


「それこそが、この領地の“謎”ではありませんか?」


「―その瞬間」


「頭の中で、何かが音を立てて噛み合った」


建築が早い。改修も異常に速い。領主館の増改築。工場群の立ち上がり。 

全てが「早すぎる」。


しかも、誰も隠そうとしない。当たり前の様に、日常として流れている。


私は……


「何があるか」ばかりを探していた。


けれど違う。


ここは――やり方そのものが違う領地。


はっと息を呑むナータ。


……そうか。隠していたんじゃない。


私が、常識に縛られていただけだったのね。


ようやく、霧の向こうに輪郭が見え始めていた。

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