表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
階段から転落して思い出しました!89歳まで生きた私、今度の人生は異世界で半島領の次女です  作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

214/241

影は捕らえられた

……隊長、何を考えてるんだ?


ここでは“見えている”だと?

確かに、あの二人――リディアとアステリアには要注意だ。だが注意喚起だと?


影隊は精鋭中の精鋭だ。

今まで監視対象に完全にバレたことなど、一度もない。

これからも、だ。


それだけの自信も、誇りもある。


隊長が悪い人じゃないのは分かる。だが――心配しすぎだ。


「……今日はリディア担当か」


クロスボウさえ装備していなければ、さほど問題はない。距離を取っていればいいだけだ。


さて……仕事を――


ぼっこ!


「――――ッ!?」


何が起きた?


気づいた時には、視界は真っ暗だった。

袋の中だ。身体は縛られ、口には布。身動きが取れない。


……鼻歌?


女の声だ。


冗談だろ……?



――注意喚起、か。


別の影は内心で毒づいていた。正直、あの隊長は少し頼りない。掴みどころがなく、嫌な奴ではないが……拍子抜けするほど慎重だ。


今日はアステリア様担当。


この前は本当に危なかった。下手に動いていたら、二人同時に投げられた模造刀のどちらかに当たっていた。


……さて、仕事を――


ボコ!


「……っ!」


――意識が、飛んだ。


目を覚ますと袋の中。縛られている。女の鼻歌が、すぐ近くから聞こえる。


「……この感じ……」


どこかで、聞いたことがある。


「ん!?……隣にも、捕まった奴がいる……?」


袋越しに、わずかな気配。


どこかへ運ばれている。地面の感触が変わる。


水か?火か?まさか、処理?


どさっ


放り投げられた。


このまま放置されたら――いや、緊急用の道具がない。全部、奪われている。


「……あー。まさか、これは――」


「……ん?」


「……この声……?」


「「隊長か!?」」



「おーい。おはよう?お疲れさん」


聞き慣れた声。袋が外され、視界が戻る。


「「……隊長!」」



「で?気がついたらボコられて、袋の中、と」


「「……はい」」 


「女の鼻歌が聞こえました。犯人は女です!」


「……犯人って言われてもなぁ」


近衛隊長は頭を掻いた。


「影を捕獲、ね……」


「そんな馬鹿な、って顔だな?」


だが事実は、目の前にある。


精鋭中の精鋭。その二人が、同時にやられ、拘束され、無力化された。


「……しかし相手は相当な手練れだな」


「そっちの組織でも、こっちの組織でも……影は同格って言われてる」


近衛隊長は、ゆっくりと息を吐いた。


「つまりだ」


ぽつり、と。


「正面から行くしかないってことだ」


「……正面?」


「パナーの時と同じだ」


腹を割って、正面から。隠れて探る段階は、もう終わった。


「……この領地はな」


近衛隊長は苦笑する。


「影を影のまま、いさせてくれない場所らしい」


捕らえられた“影”達は、無言でその言葉を噛み締めた。


――ここでは、見ている側が、見られている。


それが、ようやく現実になった瞬間だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ