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階段から転落して思い出しました!89歳まで生きた私、今度の人生は異世界で半島領の次女です  作者:


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改革の日々、クロスボウという閃き

セレステからの宣言を受けた翌日から、メイヤとリディアの生活は一変した。


太陽が顔を出すと同時に、屋敷の庭では小さな足音と気合いの声が響き始める。


「はっ、はっ……メイヤ、もう少しペース上げるわよ!」


「は、はい……! リディア姉さん速い……!」


まずは体力をつけるための軽いマラソン。

その後は腕立て、スクワットなどの基礎鍛錬。

まだ六歳のメイヤにはかなりハードだ。だが、本人は必死に歯を食いしばりついていく。


訓練後は剣術、槍術、弓技の基本動作を順番に。

リディアは驚くほど飲み込みが良く、剣も槍も体の動きが自然で、センスの塊だ。

反対にメイヤは……剣を握れば腕が震え、槍を振れば体が流れる。

唯一、弓なら……と思い試してみたが、弦を引く力すら足りず、矢がまったく飛ばない。


それでもメイヤは諦めなかった。

朝食の後は学科の勉強。こちらはメイヤの独壇場。

読み書き、計算は前世の“ローマ字と算数”のおかげで問題なし。

とはいえ歴史だけはどうしようもない。この世界の歴史はゼロから覚えなければならないからだ。


昼食後は二時間の休憩をはさみ、午後はお互いの不得意を補い合う時間。

リディアはメイヤに剣の持ち方や足運びを教え、メイヤはリディアに学科の反復練習を手伝う。

最後は夕食後の今日の反省会。セレステが厳しい視線で両者に言う。


「二人とも、合格ラインは十分狙える。だが……詰めが甘いところは許さないわよ?」


その言葉に、二人は気持ちを引き締めるのだった。


しかし、メイヤには一つ、大きな問題が残っていた。


実技試験で武器を一つ以上を選ばなくてはならない。


剣も槍も無理。弓も引けない。

どうしたものかと頭を抱えていた時、ふと前世の記憶の端にひっかかるものがあった。


(……あれ? 前の世界で、子供用クロスボウのおもちゃで遊んだことがある……)


弓を引く力がなくても“足の力”で弦を引っ張れば。

もしあれを、この世界でも作れたら?


(これだ! これなら私でも扱える!)


メイヤはすぐさま木工師の工房へ走った。

紙と鉛筆で簡単な絵を描き、自分のイメージを説明する。


「なるほど、引き金で矢を飛ばす……まるで魔導具の仕掛けのようだが、木製でも作れないことはないな!」


木工師は目を輝かせ、試作品作りに没頭した。

そして数日の試行錯誤を経て、最終型三号機が完成する。


翌朝、セレステの前で試作品を構えるメイヤ。

引き金に指をかけ、深呼吸し……。


「えいっ!」


瞬間、矢は鋭い音を立てて飛び、木製の的に深く突き刺さった。


「なっ……!?」


セレステが目を見開く。


「これ……通常の弓よりも射程が長いじゃない。しかも、あなたの力で引ける。こんな武具、聞いたことないわ……!」


メイヤは胸を張った。

リディアも興奮してクロスボウを覗き込む。


「メイヤ、これすごい! 私も使ってみたい!」


リディアが構えれば、矢はさらに正確に飛び、驚異的な命中率を見せた。


「……これで、あなたの実技は問題なしね。メイヤ。」


「はい!」


セレステの太鼓判に、メイヤは心から安堵した。


こうして――

リディアは剣術・棒術・クロスボウで実技の三本柱を確立し、

メイヤもついに“得意な実技”を手に入れた。


学科中心のメイヤと、実技中心のリディア。

まったく違うタイプの姉妹は、互いに支え合いながら確実に合格へ近づいていく。


その日、セレステはふと空を見上げて呟いた。


「……あの学園も、そろそろ変わる時期かもしれないわね」


その横顔は、美しいエルフの学園長としての気品だけでなく、

“本気で学園を改革しようとする覚悟”が宿っていた。

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