甘さの正体と舐め続ける男
さて、と。
テンテン菜は――上手くいったわね。
葉が枯れ始めた頃合いも、抽出工程も、甘味の強さも問題なし。
残るは固形化。つまり――砂糖。
これはもう、成功するのは確定事項。
私がやるべきところは、ここまで。
「後は、丸投げで」
うん。潔く丸投げ。
となると必要なのは、専用……とまではいかなくても、食品加工と開発が同時に出来る工場ね。
砂糖特化じゃなくていい。
食品加工場兼・開発棟的なやつ。
「これは……お父様に資料を投げて、序でに丸投げっと」
資料の最後に、ひとこと添える。
――「砂糖が完成するかもしれません」
これだけ書けば、後は勝手に動くでしょう。
うん、完璧。
「隊長ーーーー!!」
「何だよ!!!」
振り向いた瞬間、もう嫌な予感しかしない。
「最近そればっかだろ!?同じ流れ!!もうお腹いっぱいだ!!」
「これ、舐めて下さい!!」
「……は?」
小皿を突き出され、隊長が一歩引く。
「えーー毒薬?」
「毒殺するなら、本人に気づかれなくやります」
「言い方が怖ぇよ!!」
渋々、指先で少し舐める隊長。
「……」
「……」
「……甘い!!」
目を見開いた。
「何だこれ!?」
「テンテン菜ってやつから抽出しました。砂糖の元です!!」
「はぁ!?」
隊長、声が裏返る。
「砂糖って確か、キビキビ草からじゃなかったか!?」
「これからは、これからも採れます」
「……テンテン菜って、土地が痩せてて、家畜の餌にしかならねぇ――」
「本当は宝の山ってやつだったんですよ!!」
私は、工程を書いた書類をバンッと置いた。
「工程はこちらに!登録、オネシャス!!」
「えーーーー……」
隊長、頭を抱え――
「……」
――そのまま、もう一度舐めた。
「……おい」
「何です?」
「これ、いつまで舐めていい?」
「……?」
「いや、これ俺にくれたやつだろ?」
「ちょっと!!いつまで舐めてんですか!!」
「これは私にくれたんだ!!」
必死に小瓶を抱え込む隊長。
「もう一回舐める!!」
「舐めるな!!登録しろ!!」
甘味一滴で、理性が溶ける男。
――こうして、テンテン菜は作物から戦略物資へと昇格し、隊長の舌は、しばらく砂糖の虜になったのであった。




