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階段から転落して思い出しました!89歳まで生きた私、今度の人生は異世界で半島領の次女です  作者:


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甘さの正体

今日は、こっそり畑を見に行く予定だった。


……はず、だったのだけれど。


「メイヤ」


背後から聞き慣れた声。


「……お姉ちゃん?」


振り向いた瞬間、全てを悟った。

この人、こういう時の勘だけは異様に鋭い。


「今から畑でしょ?」


「……はい」


というわけで、結局パナーさんも合流し、三人で畑へ向かうことになった。


目的はテンテン菜。

最近、葉が枯れ始めてきたのが気になっていた。


「収穫時期がはっきり分からないのよね」


「だから様子見?」


「うん。葉が枯れ始めたのから、数個だけ」


掘り起こしてみると、地中から現れたのは――

ずんぐりした、カブのような根。


「これ、何なの?」


お姉ちゃんが首を傾げる。


私はニコッと笑うだけ。まだ成功してないしね。変に期待持たせて失敗してもね。。


(影の時に撒いてるのは見たことあるけど……まあ植物だし、大した影響はないでしょ)と心の中で思うパナーだった。


そのままテンテン菜を抱え、向かったのは調理場だった。



「ナルトさん、これお願い」


「前に言ってた野菜って、これか?」


ナルトさんはテンテン菜を手に取り、眉をひそめる。


「見たことねーな。スープか?」


「違います」


私は首を振った。


「まず、細かく千切りにして。鍋に水を張って、茹でます」


「ほう?」


「アクが凄いと思うので、アク取りをしっかり」


「おう」


しばらく煮込んだあと。


「……もう火は通ってるぞ?」


「まだです」


「まだ?」


「ゆっくり、です」


ナルトさんは不思議そうな顔をしながらも、火を弱めた。


十分に煮詰まったところで、私は言った。


「じゃあ、その千切り、全部取り除いてください」


「……は?」


「取り除いて。あ、それは家畜ちゃん達の餌へ」


「はあ!?」


ナルトさんが声を荒げる。


「餌を作るために、こんな手間かけさせるなよ!」


「ちっぃ、ちっぃ、ちっぃ」


私は指を振った。


「重要なのは、こっちです」


「……汁?」


鍋に残った液体を、小皿に分ける。


「皆さん、舐めてみてください」


半信半疑で口に含んだ瞬間――


「「「甘い!!」」」


三人の声が揃った。


「これ……砂糖か?」


ナルトさんが目を見開く。


「完全に同じではないけど、方向性は一緒です」


私は頷いた。


「ナルトさん。命令です」


「お、おう?」


「これを使って、甘〜いお菓子の開発を」


「……固形化できれば、砂糖だな?」


「そう」


私は静かに言った。


「超高級品の砂糖を手の届きやすい場所まで持って行きたいんです」



すぐにパナーさんへ指示を出す。


「テンテン菜の種は、普通に流通しています。地方では家畜の餌として育てられてるそうです」


「はい」


「この工程、直ちに登録を。それから、砂糖として固形化できたら――」


私は畑の広さを思い出しながら続けた。


「テンテン菜の種を発注。あの畑で約1キロ分」


「……かなりですね」


「使ってない畑、狭くて使いにくい畑、全部です。集計後、発注してください」


「了解しました!」


最後に、甘い液体を小分けにして配る。


「個人に分けて、どうぞ。お茶に入れてもいいですよ」


「……これは売れるわね」


お姉ちゃんが、ぽつりと呟いた。


私は畑の方角を思い浮かべる。


また一つ、世界が甘くなる!


気づけば、いつも通り――静かにでも確実に。

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