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階段から転落して思い出しました!89歳まで生きた私、今度の人生は異世界で半島領の次女です  作者:


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エルフ教師の実力判定試験

家庭教師となったエルフ――セレステが領主館へ来て数日後。

私とリディア姉さんは、執務室横の書庫に呼び出された。


「それでは、お二人の実力を拝見させていただきますわ」


試験用紙が机に広げられる。

読み書き、計算、歴史。

そして実技として剣技と弓術。


私は思わず息を飲む。


「メイヤ、緊張……してる?」


「めっちゃしてるよ!!」


セレステはにっこり微笑む。


「大丈夫。落ちても怒りませんから」


(怒らないけど……落ちたら恥ずかしいっ!!)


こうして、私とリディア姉さんの“実力判定”が始まった。


◇◆◇


◆ メイヤの実力

読み書きも計算も問題なし。

試験内容は小学生レベルなので、むしろ前世の知識が強すぎるほど。


(ありがとうローマ字……! この世界の文字がローマ字で本当によかった……!)


しかし――

歴史は壊滅的だった。


(いや無理!! 初代“大統領王”とか、何それ!? 前世の世界史にも出てこなかったよ!!)


そして実技――


「そ、それは刃をそっちに向けては危険でございますメイヤ様ーっ!!」


「ひゃああああ!!」


剣は重い、怖い、振れない。

弓は弦を引く腕がぷるぷる震える。


総評:実技ゼロ点。運動音痴の極みだって6歳児!


◆ リディア姉さんの実力

学科は中の上。

苦手はあるが努力すれば十分伸びる。


そして実技――


ヒュンッ!


矢は美しい軌道を描き、ドンッと的の中心へ。


「……つ、強っ!!」


セレステも目を細めて頷く。


「リディアさん、あなた実技だけなら“学園合格ライン”どころか、上位クラスでも通用しますわ」


「え……そ、そんなに?!」


剣も鋭く、姿勢も完璧。

どう見ても貴族の娘じゃなくて訓練兵の動きだ。


◇◆◇


全ての試験結果をまとめたセレステは、優雅に言った。


「お二人とも、とても分かりやすい傾向ですわね」


「ど、どうでした……?」


「メイヤ様は学科特化。歴史と実技を補強すれば、一発卒業は可能ですわ。リディア様は逆に実技が優秀なので、学科を底上げすれば間違いなく合格できます」


二人で顔を見合わせて……ホッ。


だけど――この結果を聞いた父は、逆に不安になったらしく、セレステを執務室へ呼び出した。


◇◆◇


夕方。

父の執務室にはセレステと、隣に執事ガルド。


セレステはガルドを見るなり――


「まぁぁ〜ガルドじゃない。老けたわねぇ……昔はあんなに可愛い子犬だったのに」


「こ、子犬……!? セレステ様、言いすぎで……!」


父は苦笑しつつも咳払いし、本題へ。


「それで……娘たちは本当に“半年以内に”卒業レベルに届くのか?」


セレステは余裕の笑みで頷いた。


「心配いりませんわ。二人とも数ヶ月で“一発卒業”可能です。ほぼ確実に。」


父とガルドは息を呑んだ。


「ほ、ほんとうに……?」


「ええ。ただし万全を期すため、試験科目の選定、実技の種類をわたくしが調整いたします。お二人の適性を見極めて、最短ルートで合格させますわ」


この自信。

まるで“全てが見えている”者のような目だった。


父が安心しかけた、そのとき。


セレステは声を潜めて言った。


「そして……できれば――二人とも学園へ来ていただきたいのです」


「……は?」


「もちろん、嫌がるリディア様の気持ちは理解しています。でも――」


セレステは椅子に背を預け、ため息をつく。


「学園は今、酷い状態です。腐敗、派閥争い、裏口、賄賂。貴族の子が“友だち作り”だけして卒業していく。本来の教育の場としては壊れきっています」


父とガルドは顔を青ざめさせた。


「そ、そこまで……?」


セレステは真剣な目で二人を見る。


「だからこそ。わたくしは二人に、“良い意味でも悪い意味でも、学園を壊してほしい”のです」


「壊す……?」


「常識でも。才能でも。結果でも。存在でも。

あの学園を揺さぶる子が必要なの」


そして――

セレステは衝撃の事実を告げた。


「――わたくし、現在の“学園長”ですの」


父「……は?」


ガルド「……は?」


セレステは指を口元に添え、微笑んだ。


「教える側であり、学園を治す責任がある側。

でも……わたくし一人では限界がありますの。だから――二人の力が欲しい」


そう言って立ち上がり、静かに頭を下げた。


「どうか……この学園を、助けていただけませんか?」


父は、メイヤとリディアの未来だけでなく――

学園の未来までも背負ってしまったことを悟った。


こうして、私たちの知らぬ所での“学園攻略作戦”は本気で動き始めたのだった。

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