表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
階段から転落して思い出しました!89歳まで生きた私、今度の人生は異世界で半島領の次女です  作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

172/195

極秘が日常になる頃

「はぁ〜……」


機構隊長の溜息は、もう何度目か分からなくなっていた。


「そんなに溜息つくと禿げるぞ?」


気楽な声で近衛隊長が声を掛ける。


「そういう問題じゃねぇんだよ……」


「また、あのお嬢ちゃんか?」


「……ああ。まあ、お前さんになら見せてもいいか」


機構隊長は机の引き出しから一束の書類を引きずり出した。


「なっ!?何だこれは!?なんで極秘指定の内容をここまで具体的に……?」


近衛隊長の目が一瞬で鋭くなる。


「お前の所も同じく極秘だったか」


「当たり前だ。紫石の用途なんて、王都でも一部しか知らんぞ」


「だよな……」


機構隊長は頭を掻いた。


「だがな。あのお嬢ちゃんは“知ってる”んだよ。しかも、調べた形跡もなく、当たり前みたいにな」


「……意味が分からんな」


「俺もだ」


二人は同時に肩をすくめた。


「俺は何も見てないぞ?補給部隊の護衛で手一杯だ」


「そっちはどうだ?」


「補給路は平和だな。志願兵も増えてるし、軍隊式で教えながら回してる。時間はかかるが、練度は確実に上がるだろ」


「成る程な」


「それでも、一番組織的なのは学生隊だがな」


「……ああ」


機構隊長は苦笑する。


「リディア殿が、まあ……あれだからな」


「ククク……」


二人の笑いは短く、すぐに消えた。


「で、これが紫石か」


机の上に置かれた、黒に近い紫色の石。


「早速、タルトさんの所に持っていくそうだ」


「炭の代わりに、か?」


「そうだ。火力は確実に上がる。鉄を作る時も、まずはこれで試すそうだ」


「……本当に、世界が変わりそうだな」


「もう変わってるさ」


機構隊長は、遠くを見るように呟いた。


「ただ、その中心にいるのが――何も知らない顔で次の一手を打つ、あのお嬢ちゃんだってだけだ」



その頃。


「炭の代わりに、これを?」


紫石を受け取ったタルトは、目を輝かせた。


「そう。試験だ」


「面白ぇ!じゃあ、早速炉に入れてみるか!」


火が入る。


炎が、今までとは明らかに違う色と勢いを見せ始める。


誰もが気づいていた。


これは、ただの実験では終わらない、と。


そしてまた一つ――

“極秘”は、フェルナード領の日常へと引きずり込まれていくのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ