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階段から転落して思い出しました!89歳まで生きた私、今度の人生は異世界で半島領の次女です  作者:


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極秘よりも厄介なもの

「隊長ーーーーー!!」


機構隊長の執務室に、勢いよく扉が開く音が響いた。


「おっ!?なんだ、パナーか!!」


書類に目を落としていた隊長は、顔も上げずに応じる。


「ここに来て大丈夫なのか?もう完全に表の人間だろ?」


「メイヤ様には、“機構に登録しに行く”と話してあります!」


「……まぁ、それならいいか。で、どうした?」


「そっちの仕事は慣れたか?影から光に出て、目が潰れてないか?」


一瞬の沈黙。


「……光すぎて、消滅しそうです……」


「はぁ?」


隊長はようやく顔を上げ、怪訝そうに眉をひそめた。


「まぁまぁ、そのうち慣れるさ。最初は皆そう言う」


次の瞬間。


ばぁん!!


乾いた音と共に、机の上に書類の束が叩きつけられた。


「……おい」


「これ、何だ?」


「機構に登録予定の書面です!内容の確認をお願いします!」


「おいおい!登録は支部に行け!俺は受付じゃねぇぞ!!」


「……じゃあ、受付にそのまま出していいんですね?」


「……」


隊長は嫌そうに舌打ちし、渋々書類を手に取った。


「どれどれ……」


数行読んだ所で、動きが止まる。


「……はぁ??」


さらに読み進める。


「……はぁぁ???」


そして顔を上げた。


「……何で、あのお嬢ちゃんが……」


紙をひらひらと振る。


「極秘案件を、こんな“当たり前”みたいな顔で書いてやがるんだ!?」


「私が知りたいくらいです!!」


パナーは半ば叫ぶように返した。


「しかもこの“精錬炭”って何だ!本当に出来るのか!?」


「いえ!まだです!」


即答だった。


「紫石が手元にありません!学術員に領内採掘を依頼している段階です!」


「……つまり」


隊長は額を押さえる。


「石が来たら、試す気満々って事だな?」


「はい!間違いなく」


「……どないしよ」


机に肘をつき、深く溜息。


「精錬炭が成功したら、とんでもねぇぞ……」


「そもそもだ。紫石の使用用途が、はっきりし過ぎてる」


「はい!さも当然のように、纏めていました!」


「……王都の最高責任者に話をして下さい!」


「只今、内乱中につき、連絡不能です!!」


「……」


沈黙が落ちた。


「じゃあ、どうするんですかーー!!」


パナーが机に身を乗り出す。


「メイヤ様の事です!止めても進めますよ!!」


「……」


隊長は天井を仰いだ。


「……あーーー……」


しばし考え。


「この件は……俺が登録手続きをしとく」


「え!?」


「問題になったら……」


ニヤリと笑う。


「あのババアに振る」


「雑っ!!」


「何なんですか!あのメイヤ様!!」


思わず声を荒げるパナーに、隊長は肩をすくめた。


「何なんだって?影の頃から見てたろ?」


「……見てましたけど」


「平然としてましたけど……」


「今回のは、私も内容を理解出来たから分かりましたけど……」


「だろ?」


隊長は椅子にもたれ、腕を組む。


「それが、あの謎のお嬢ちゃんだ」


「分からない者ほど、振り回される」


「眩しすぎるなら――」


にやり、と笑って一言。


「サングラスでも要るか?」


「……チッ……」


パナーは顔をしかめながらも、書類を抱え直した。


外では、今日も何事もない顔で、少女が次の“当たり前”を考えている。


それがどれほどの波紋を生むかなど、知らぬままに。


――そして、機構の頭痛は、また一つ増えたのだった。

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