表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
階段から転落して思い出しました!89歳まで生きた私、今度の人生は異世界で半島領の次女です  作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

132/200

状況は?

「ふぁ〜……」


メイヤは大きく伸びをしながら、ゆっくりと上体を起こした。


「よく寝てしまったわね。これくらいの徹夜で寝落ちするなんて……」


自分の手を見つめ、軽く握って開く。


「やっぱり、この身体に引っ張られてるのかしら?」


以前なら、三日四日くらい平気で起きていた。だが今は違う。疲労が溜まれば、意識がすとんと落ちる。良くも悪くも、“この世界の身体”に順応してきている証拠だった。


天幕の外はすでに明るい。


「それにしても……援軍が来てくれて本当に助かったわ」


思い出すのは、砂煙を上げて突入してきた騎兵隊の姿。


「騎兵って、やっぱりかっこいいわよね。うちにも欲しいくらい……」


ふと苦笑する。


「まあ、軍馬は高いって聞くし。うちにいるのは荷物を引く馬ばっかりだもの」


少し考え込んでから、ぽつりと呟いた。


「……でも、あの馬で騎兵やるのも、案外ありかしら?」


すぐに首を振る。


「いやいや、無理無理」


だが内心では、完全に否定しきれていなかった。


「おかげで、こっちの切り札――火縄を使わずに済んだし」


メイヤの表情が引き締まる。


「私の中じゃね、切り札を切るなら“さらに切り札を持て”が基本なの」


使わずに済んだ、という事実そのものが、今後の余地を残している。


「さて……これからどうしましょうか」


敵を引きつけ、王都への進軍は確実に阻止した。だが、ここで終わりではない。


「司令場、行くか」


メイヤは立ち上がり、天幕を出た。



司令場では、機構隊長が地図を前に腕を組んでいた。


「おぉ。お嬢ちゃん、ゆっくり休めたか?」


「ええ。ゆっくり寝れたわ〜」


あっさり答えると、機構隊長は目を細めた。


「そりゃ何よりだ」


「状況に変化は?」


「あー……そうだな」


機構隊長は指で地図をなぞりながら説明する。


「エドラン騎兵隊が、敗走した反乱軍をどっつき回してな。完全に散らした後、もう戻ってきてる」


「流石ね」


「それだけじゃねぇ。俺の部下が、敵が置いていった糧食と馬つきの荷馬車を捕獲した。今、こっちに戻ってる最中だ」


「……いいわね」


メイヤの目が一瞬だけ光る。


「捕獲した荷馬車は、戻り次第すぐに強化型に改造して」


「即かよ」


「即よ。輸送力は命」


「了解だ」


機構隊長は肩をすくめつつも、否定はしなかった。


「エドラン領主様は?」


「今は自軍の歩兵隊の到着待ちだな。騎兵だけじゃ、街に入って治安維持は難しいからな」


「そう……」


メイヤは少し考え込む。


「戦略的には、このままエドラン軍と一緒に進軍するのが正しい……のよね」


「まあ、本来ならそうだ」


機構隊長は、言葉を選ぶように続ける。


「だが……」


「……うちの軍は、正規軍がいない、よね」


メイヤが先に言った。


「そうだ」


機構隊長は苦笑する。


「今回は、陣地に籠って戦えただけ、まだマシってところだな」


「ええ……」


メイヤは地図を見つめたまま、静かに頷いた。


正面から進軍し、野戦で王都を救う――それは、今の男爵領には荷が重すぎる。


「でもね」


メイヤは顔を上げる。


「“戦えない”わけじゃない。“戦い方が違う”だけよ」


機構隊長は、その言葉に小さく笑った。


「確かにな。今回も、それを嫌ってほど見せられた」


メイヤは、まだ静かな戦場跡を見渡す。


「このまま終わるとは思ってないわ。だから……次を考えましょう」


戦いは一区切りついた。


だが、物語はまだ先へ進む。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ