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階段から転落して思い出しました!89歳まで生きた私、今度の人生は異世界で半島領の次女です  作者:


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思わぬ所から!?

「――ちょっと待ったーー!!」


間の抜けた、しかしよく通る声が戦場に響いた。


「……へ?」


「……へ?」


「……へ?」


男爵領側も、反乱軍側も、そしてメイヤですら、同時に同じ反応をしていた。


声のした方――見張り台。


その屋根の上に、いつの間にか腕を組んで仁王立ちしている人物がいる。


風に揺れる外套。やけに堂々とした立ち姿。


「……リディア?」


メイヤが思わず名前を口にする。


そう、そこにいたのはリディアだった。


しかも――


「そこの陣の真ん中にいる、いっちばん偉そうな奴!!」


指をビシィッ!と突き出す。


「そうそう!そのぶくぶく太ったおっさん!!」


敵陣がざわつく。


「自分だけいいもん食って!贅沢して!平民から搾取した挙句!自分は安全な場所で見物か!?いいご身分ねぇ!!」


完全に火力が高い。


「その腰に下げてる剣!!あれは何!?お飾り!?飾り剣!?それとも腰抜けの証!?」


敵指揮官の顔が真っ赤になる。


「男ならその剣を抜きなさいよ!!」


さらに追撃。


「それとも……あんたの“それ”、もう使い物にならないのかしらぁ!?」


一瞬の沈黙。


――ぷっ。


誰かが、堪えきれず吹き出した。


――ぷっ、くくっ。


敵陣の、しかも後方からだ。


「なっ……!?」


反乱軍指揮官、完全に顔面蒼白から茹でダコへ。


「わ、私を愚弄する気か!!」


「してるに決まってるでしょ?」


リディアは即答だった。


そして、見張り台の屋根の上で、剣の柄に手をかける。


「――私と」


一瞬、間を置いて。


「一騎討ちをしなさい!!」


戦場が、完全に止まった。


「……え?」


「……一騎討ち?」


「……学生じゃなかったのか?」


敵味方、全員の脳が処理落ちしている。


男爵領側。


「……何てこったい、お姉さん……」


機構隊長が、頭を抱えた。


「いや、あれ止めなくていいのか?」


近衛隊長が小声で聞く。


「……今止めたら、逆に怒られる気がする」


誰も動けない。


敵指揮官は、周囲の視線を感じながら、ぎりぎりと歯を鳴らした。


(平民に笑われた……!逃げたと思われる……!)


「……よかろう」


ついに、剣を抜く。


「貴様如きに、貴族の剣の重みを教えてやる!!」


その瞬間。


男爵領側のあちこちから、「あっ……」という声が漏れた。


メイヤは、額に手を当てて小さく呟く。


「……乗ったわね」


完全に。


「想定外だけど……」


リディアは、屋根の上で満面の笑みを浮かべていた。


「よーし!じゃあ始めましょ!!」


――戦場は、思わぬ方向へ転がり始めていた。

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