表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
階段から転落して思い出しました!89歳まで生きた私、今度の人生は異世界で半島領の次女です  作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

109/197

動き出した内乱

反乱の報は、王都よりも早く、領地に届いた。


「……遂に、やったか」


王城でその報告を受けた王は、思わず立ち上がっていた。

半島の反対側――王都を挟んだ向こう岸。

近年、外国船の寄港が急増していた港町を抱える領地。


「接する王族派領地へ、進軍を開始したとのことです」


報告官の声は硬い。


話は、確かに上がっていた。

不穏な動き、資金の流れ、港町での武装した人間の出入り。

だが――まさか、ここまで早く、露骨に動くとは。


「直ちに伝令を飛ばせ。各領主へ通達――王族派の支持を明確にし、反乱に備えよ」


王都は、即座に臨戦態勢へと移行した。


それは同時に、王族派・反王族派、双方が堂々と兵を動かせる理由を与えたことも意味していた。



その頃。


メイヤは、機構隊長と共に、工房で火縄銃の部品を前にしていた。


「で、この改良型だと、点火の安定性が――」


「……王都、動いたな」


突然、機構隊長が呟いた。


同時に飛び込んでくる報告。


「王都、非常態勢。反乱発生とのことです」


メイヤは、深く息を吐いた。


「あー……参ったな、こりゃ」


椅子にもたれ、天井を見る。


「遂に来たか、って感じ?」


「嬢ちゃん……」


機構隊長も、珍しく表情が険しい。


「王が指示を明確にした。これで王族派も反王族派も、遠慮なく兵を動かせる」


「……不味い?」


「不味いな。しかも、この混乱に乗じて“漁夫の利”を狙う連中も、必ず出る」


「内乱、確定ね」


しばしの沈黙。


だが、メイヤの表情は、不思議と暗くなかった。


「でも――敵が、はっきりしたわ」


「……どういう意味だ?」


「反王族派、旧商人、外国勢。今まで“ぼんやり”してたものが、全部一本に繋がった」


メイヤは、地図を広げる。


「だから、ここからは“誘導”できる」


機構隊長は、眉をひそめた。


「誘導?」


「うちの領内にいる不審人物」


「ああ、増えてるな」


「全員拘束」


「……檻に入れるか?」


「ううん」


メイヤは、にっこり笑った。


「ボコって、領境から追い出して」


「……は?」


機構隊長が、素で聞き返す。


「何でだ?」


「簡単よ」


メイヤは指で地図をなぞる。


「ボコられた連中は、必ず依頼主の所へ戻る。

で、こう言うわ」


――この領地、見張り小屋しかない。

――今なら、簡単に落とせる。


「……なるほど」


機構隊長の口元が、歪む。


「だが、来てみれば?」


「出城、完成済み」


「腰抜かすな」


「最初は少人数のはずよ。様子見だから」


メイヤは淡々と続ける。


「来たら、またボコって返す」


「……王都じゃなく、こっちに兵を向けざるを得なくなる」


「そう」


メイヤの指が、王都へ向かう最短街道を叩く。


「ここで敵主力を引きつけて、削る。王都は、その間に体勢を整えられる」


機構隊長は、しばらく黙り込み――


「……あー、嬢ちゃん」


「なに?」


「それ、囮じゃなくて狩り場だ」


メイヤは、肩をすくめた。


「向こうが選んだのよ。来るって」


そして、静かに言う。


「私の日常を壊そうとしたんだから。それくらいのリスク、背負ってもらわないと」


機構隊長は、大きく笑った。


「よし!じゃあ嬢ちゃん、領内の準備を進めるぞ」


「ええ」


メイヤは、工房の奥――

火縄銃と黒色火薬の試作が並ぶ棚を見る。


(……もう、隠す段階じゃない)


「……覚悟、決めたな」


「守るためよ」


外では、いつも通りの夕暮れ。

子供たちの声が、まだ校庭から聞こえていた。


――その日常を守るために。


領地は、静かに、しかし確実に

戦場への入口を整え始めていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ