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階段から転落して思い出しました!89歳まで生きた私、今度の人生は異世界で半島領の次女です  作者:


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ひよこと領主家の娘

前金として金貨は受け取ったものの──。

メイヤは改めて金貨の袋を見つめ、深く息を吐いた。


「これは領地の未来を変える大事な資金……無駄遣いは絶対にしない!」


元・経営者魂がうずく。

けれど、鶏を買う経験なんてゼロだ。

知識と言えば、前世でYouTubeの鶏飼育動画を見ていた程度。


まずは現場の声だ!

そう考えたメイヤは、領内で鶏を飼っている農家へ聞き取り調査をすることにした。


■ 鶏を「飼っている人」と「飼ってない人」


領民の話を聞いて回ると、飼育事情が見えてくる。飼っている農家は決まって同じことを言った。


「水と餌やって、掃除して、卵を拾うだけだよ。難しくないさ」


メイヤの前世知識とほぼ一致。

ただ問題は“糞”だった。


「掃除した糞、どうしてます?」


「適当に畑の隅に捨ててるよ?」


──それ、全部使い道あるやつ!


メイヤは叫びかける気持ちをぐっと抑えた。

ここで集めて加工すれば、立派な肥料になる。

だが各農家から回収するとなると、作業者を新たに雇う必要がある。

人件費はかけたくない。

メイヤは悩んだ末、こう決断した。


「私が庭に小さな鶏小屋を作って育てます!

それで、肥料の作り方が完成したら、飼ってる皆さんにも教えます!」


聞き取りをしていた農家の一人が、ぽんと手を叩いた。


「そうかい! じゃあ、ひよこ欲しいのかい?」


「えっ?」


農家の男性はにやりと笑う。


「たまに卵を回収し忘れて孵っちまうんだよ。数匹なら譲ってやるよ」


思わぬ申し出にメイヤが固まる。


「他の家にも聞いてみな? 同じように勝手に孵ったひよこ、結構いるはずだ」


言われるままに各家庭を回った結果──


なんと、数十匹のひよこが集まってしまった。


もちろん雄雌は不明。

でも、タダで貰うわけにはいかない。


「何かお返しを必ずしますね!」


頭を下げるメイヤに、農家たちは笑って


「気にすんな」


と手を振った。

こうして、たくさんの“ぴよぴよ部隊”を抱えたまま、メイヤは領主館へ戻ってきた。


■ 領主館の庭で──剣の音が響く


「……あれ?」


庭の訓練場から、剣が打ち合う鋭い音が聞こえてきた。


見ると、父である領主と──

長女リディアが真剣な表情で剣を振っている。


「長女様が……剣術……?」


戸惑うメイヤに、隣のミュネが静かに説明した。


「リディア様は次期領主としての訓練をされております。この国では、女性が領主になることも普通にありますから」


「えっ……そうなんだ」


前世の知識では“女性貴族は政略結婚”というイメージが強かった。

しかしこの世界では、性別に関係なく“能力のある者”が家を継ぐらしい。


メイヤは目を見開いた。


(この世界、思ったより男女平等なんだ……)


と、そこで。


「……ピヨ?」


手提げかごの中でひよこが鳴いた瞬間──


バッ!


剣を収めたリディアが物凄い勢いで振り向いた。


「なにその可愛い声!!」


次の瞬間には、メイヤの目前に立っていた。


「メイヤ! その鳴き声、ひよこよね!? 見せて!!」


「は、はいっ!」


かごの布をめくると──


「ぴよっ」


リディアの瞳が輝いた。


「……買うわ! この子、私が育てる!!」


「えっ!? あ、はい!?!」


高貴な少女らしからぬ勢いに、メイヤは押され気味。


しかし、すぐにリディアはふわりと笑った。


「メイヤ、あなたも育てるのでしょう?だったら二人で育てましょう!」


「……はいっ!」


こうして、ひよこたちは──

メイヤとリディア、ふたりの“共同プロジェクト”として育てられることになった。


未来の肥料計画は、ここから加速していく。

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