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【完結】神様と呼ばれた精霊医 ~その癒しは奇跡か、祝福か~   作者: 川原 源明
第7章 動き出す友の病治療

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第88話 ミントのゴーレム

 家主のライラが出ていって数分後にはイリーナも来たが、肝心のライラが帰ってこなかった。


 私はヴィッシュが触れても問題ないという義手義足で遊んでいた。


 義手が手のひら側だけじゃなく甲の方でもつかめるのは便利だな、なんて思っていた。


 基本的に木製の義肢を見ていて思う。


「これつかってミントもゴーレム出来ないの?」


『出来るで』


「やっぱり」


 必要になってきたら一式そろえてみるのも良いかもしれない。そんなことを思っていたら、近くに置いてあった10本の義手義足がミントを中心に集まり、奇妙な塊ができあがっていた。


『ほら、見てみ』


 それぞれの関節があり得ない方向に曲がったりしていて、なんというか不気味で……。


「なんか怖……」


『なんでやねん』


 3本の腕でビシッと突っ込まれた。


「精霊さんが動かしているんですかね?」


 最初から見ていたからか、イリーナはまったく動じていない様子だった。


「ゴーレムと同じ仕組みでしょうが、形状が不気味ですね」


 そうだよね、人型ですらないし……。そんなことを思っていると、イリーナがミントの動かしている手に握手し始めた。


「握手したら力強く握られると思ったのですが、力加減も出来ていますね」


『あたりまえや』


 再び握手をしている腕以外の腕でイリーナにつっこんでいた。


「複数の腕を同時に動かせるとなると、まん丸君も同じことが出来ますよね?」


『出来るよ~』


 まん丸の姿は見えなかったが、また襟と首の間で寝ているのだろう。返事があった。


「出来ると言っていますね」


「そうですか、それでしたら2人とも君のサポートが出来ますね」


 ミントとまん丸が物理的にサポート、アクアが全体の把握と状況管理、グレンが私の目や術中のサポート。皆がいるから出来ることだと改めて思った。


「そうですね、皆がいるから出来るって感じですね」


「そうですね、私としては、将来的に精霊達の力を借りなくても人と道具だけで同じようなことが出来るようにならないかなと、思っているんですよ」


「そうですよね、さっきの流れを見ていていくつかの病を治せますもんね」


 いつかは治せない病気の方が少なくなるのだろうか?


 ヴィッシュ、イリーナと話をしている横でも、ミントがうねうねと義肢集合体で遊んでいた。


「えぇ、そのためには、知識と技術を学ぶ場が必要になりますね」


「そうですね、医学科でも作りますか?」


「教える人はどうするのですか?」


「誰もいませんね……」


 イリーナがそう答えると、2人の視線が私に集まった。


「ぇ? 私が教えるんですか!?」


「ラミナ君に教わるというのは冗談ですよ。錬金科でも薬の処方のためにある程度診断基準がありますが、完璧ではないんですよ。医学科設立の前に完璧にしていきたいんですよね」


「そこも課題ですよね、似た症状をどうやって判断するか……」


「精霊達のおかげで感覚的にイエス・ノーは判断できますが、それがなくても正しく判断出来るようにならないとですからね」


「そうですね~、昔より大分ましになってきましたが、まだまだ課題は山盛りですよね~」


「そうですね」


 私にとっても病は両親を殺した憎き相手だ。知識不足で救えない命を無くすために学園に来たが、ミアンの魔素硬化症を見て、今は知識・技術両方を高めて救えない命を無くしたいと思うようになっている。


「私に出来ることだったら……」


「ラミナさんには、色々経験を積んでもらった方が良い気もしますね」


「そうですね、大精霊達と直接やりとり出来るのが大きいですからね」


「ですね~、今度サウススペルンの治癒院に行ってみませんか?」


 サウススペルンって、名前的にスペルン遺跡の近くってことだろうか?


「サウススペルンって、スペルン遺跡の近くですか?」


「そうですよ、スペルン遺跡から少し南に行ったところにありますよ」


 行くなら今からでも別に良いけど、ライラが早く帰ってきてくれれば……。


「へぇ……。いつでも良いですけど、ライラさんに作成依頼した後とかは難しいですよね?」


「私なら大丈夫ですよ」


 イリーナから思わぬ回答が帰ってきた。


「ぇ、いいんですか?」


「えぇ、元々光の日から3日間治癒院に行く予定でしたので」


「じゃあ、この後……」


「いいですよ、昼前の馬車で行きましょうか」


「あれ? 準備できているんです?」


「向こうにも色々置いてあるので、そんなに荷物はないんですよ」


 頻繁にサウススペルンに行っているってことだろうか?


「はぁ、そうなんですね」


 この後の予定が決まった。今週末はサウススペルンかな?


 そう思っていると、玄関の扉が開く音がして上機嫌なライラが戻ってきた。


「これすごいですよ! 地下都市で明かりがなくても日中のような明るさだし、多少明るさも調整できるし! 今すぐ自分の目と交換したいくらい!」


 家に戻ってくるなり、上機嫌でそんなことを言っていた。


 あぁ、地下都市まで行っていたのか。階段とかあるし、そりゃ戻ってくるまでに時間がかかるわけだ。


 そして、未だ不気味な格好をして遊んでいるミントを見て——。


「ギャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」


 悲鳴を上げて倒れた。


『そんなに驚くことやないやろ……』


「そうなるよね……」


 詳細を知らない人が今のミントの姿を見たら、驚く以外に選択肢はない気がする。


「面白い」「続きが気になる」「応援する!」と思っていただけたら、


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