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【完結】神様と呼ばれた精霊医 ~その癒しは奇跡か、祝福か~   作者: 川原 源明
第7章 動き出す友の病治療

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第84話 契約

 神経を使ったからか、精神的にどっと疲れた。


「ふ~ん、今の世の中って、さっきみたいなことをして病気を治すのが普通なの?」


『いいえ。そもそも身体を傷つけて治療する手段なんて、今のところは瀉血くらいしかありませんよ』


「え? じゃあ、先のは?」


『ラミナが魔素硬化症の友人を救うための練習なんですよ』


「それで私の力を借りたいってこと?」


『そういうことです』


「ふ~ん、まぁいいわ。契約してあげる」


「いいの?」


「うん。良い暇潰しになりそうだしね」


 素直に喜んで良いのか、少し迷ってしまった。


「えっと……名前を付ければいいかな?」


「うん」


 空や空間に関係のある名前……。それか、綺麗なストレートロングの白髪と赤い目から連想しても……。思い当たらない。安直でもいいかな。


「クゥとか……?」


 我ながら安直だ。他にはハクとかスーとかソラしか思いつかなかった。


「ふ~ん、まぁいいわ」


 言葉では呆れたようだったが、クゥの表情はとてもうれしそうに見えた。


「じゃあ、クゥ。よろしくね」


「えぇ、よろしくされてあげる」


 ミントたち四大精霊とはまた違った意味で、癖のある子だなぁと思った。


「ちょっと外に出るけど、クゥはどうするの?」


「ん、あんたについて行く」


 寮に連れて行ってもいいのかな?


「私、寮暮らしなんだけど……」


「私は入れないの?」


 大丈夫なのかな……?


『ラミナのメイドという体にしてはどうですか?』


「あぁ、それなら……」


「メイドね。給仕すればいいの?」


「いやいや、ていだからしなくても良いよ」


「そう。まぁいいよ」


 クゥはそう言うと、くるっとその場で回った。


 回り終えた彼女の姿は、さっきまでの白いワンピースではなく、赤と白の、どこかクラシカルな印象を持つメイド服になっていた。


「どう?」


『ええんちゃう?』


「うん」


「っそ、じゃあ行きましょ」


 どこに? どうやって外に出るの?


「どうやって外に出るの?」


 私が尋ねると、クゥはエプロンのポケットに手を突っ込み、三枚のカードを取り出した。


「これをラミナにあげるよ。そのカードに魔素を流せば、ここに来られるよ」


 三枚とも、表には魔法陣、裏には赤の三角形を基調とした幾何学模様が描かれていた。全部同じに見える。


「全部同じカードに見えるけど」


「そりゃ三枚とも同じだもん」


 やっぱりそうなんだ。間違い探しかと思ったけど、違った。


「で、出る方法は……?」


「この部屋に居るときに、そのカードに魔素を流し込んでみなさいな」


 クゥの言葉に従ってカードに魔素を流すと、目の前が暗転し、気づけばダンジョン入り口に立っていた。


「ダンジョンに入った場所に戻るわよ」


「寮からダンジョンに入ったら、寮に戻るってこと?」


「そうだよ」


 結構便利な気がする。


「他の人もカードに魔素を流せば、さっきの部屋に行ける?」


「来られるよ」


 ちょっと寮で休んでから、ヴィッシュとイリーナと一緒にやればまた違う課題が出てくるかな?


 とりあえず、いったん寮に戻ろう……。


 地下都市を抜けて帝都に戻ってくると。


「ちょっと散歩してくる」


 クゥはそう言うと、朝の町に軽やかに踊るような足取りで消えていった。


「なんか自由な子だね。大丈夫かな……?」


『大丈夫ですよ。彼女は空間精霊なんですから、迷子にはなりませんよ』


「そっか……」


 私の居る位置も把握してくれることを祈りながら、寮に向かった。


 寮に向かいながら気づいた。まだ店が開店していなかった。


「なんかまだお店開いてないね」


『一時間ほどしか経っていませんからね』


「あっ、そうなんだ。練習って、一回あたりどれくらい時間かかっていたの?」


『一回あたり三十分ほどやったで』


「そうなんだ」


 それくらいなら、ミアンの負担にもならなさそうだ。


 改めて寮に戻り、一休みすることにした。


「面白い」「続きが気になる」「応援する!」と思っていただけたら、


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