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【完結】神様と呼ばれた精霊医 ~その癒しは奇跡か、祝福か~   作者: 川原 源明
第6章 平和な学園生活

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第55話 ハンゾーの刀と精霊達

 闘技場の中に入ると、リング上では、すでに騎士科の実技授業が始まっていた。


「久しいな、参加しないのか?」


 闘技場の観客席から騎士科の実技の授業を見ていると、後ろから声をかけられた。


 後ろを振り返ると、入試試験以来のハンゾーがいた。


「ハンゾー先輩?」


「どうした?」


「先輩は騎士科なんですか?」


「そうだ、今日は後輩の指導を手伝いに来たら、君がいたってとこだな」


 そういえば、ハンゾーの剣を直さないとだ。


「ハンゾー先輩、剣を預かっても良いですか?」


「ん?精霊を仲間に出来たのか?」


「はい」


 そういうと腰に挿していた剣を取り、私の前に差し出した。よく見ると、紐で抜けないように固定している?


「そうか、出来たら修理するところを見たいのだが」


「そうですか、まん丸?」


『いつもの所で寝てんで』


 って事は首の後ろか、そう思っているとグレンが私の後ろへ回った。


『おい!まん丸!起きろ!』


『ん……』


『俺らが作った刀が折れたんだと』


 ん?

 俺らが作った刀?


『え~?』


 まだ寝ぼけているのか、まん丸はふらふらとした様子で目の前に飛んできた。


『その刀抜いて床に置いてもらって』


 また刀って、その変わった剣の名称なんだろうか?


「ハンゾー先輩、精霊がその刀を抜いて下に置いてって」


「わかった」


 ハンゾーは、紐を切ると先の無い刀を抜き床に置いた。


「これでいいか?」


『いいよ~』


「良いみたいです」


「そうか」


 まん丸とグレンが刀を観察していると、まん丸がアクアの方を見た。


 そして、当のアクアはまん丸から視線をそらした。


『これ、アクアがやったの……?』


『こんなことを出来るのはアクア位しかいねぇよな……』


『ラミナを勝たせるためですよ』


『そういってもな、これ部分的に絶対零度でも使っただろ……』


『そこまでやっていませんけど、私達が協力して作った刀ですからね、それ位しないと……』


『やり過ぎだと思うな~』


 アクアも「私達」ということは、皆が関わっているって事だろうか?


「ハンゾー先輩、この刀ってなんなんですか?」


「さぁ、詳しい話はしらないが、銘は精霊丸、先祖がとある恩師から餞別に渡されたそうだ」


 精霊達が知っている刀、そして恩師というのはもしかして……。


「ねぇ、この刀ってもしかして先祖が渡したのかな?」


『せやで、リタが倭国の薩摩ちゅう国に居た頃の話や』


「ぇ、それじゃあ、もしかしてこの刀皆で作ったの?」


『そうだよ~、僕ら四人で作ったんだ』


 まさかの制作者だったとは思わなかった。


 入学試験の時にミントとアクアが気になる反応をしていたけど、そういうことか。


「修理はまん丸だけで出来るの?」


『うん~、出来るけど、刀身部分は作り直そうかなぁって思ってるの~。グレンもいいかなぁ~?』


『いいぜ』


「んで、先輩が見たいって……」


『いいよ~、今日授業が終わったら北部の海岸に行こうか~』


「先輩、修理じゃなく、作り直すっぽいです」


「いいのか?」


『長く大事に使ってくれていたみたいだからね~。何度も研ぎ直しているみたいだし、せっかくだからね~』


「長く大事に使ってくれたからだって。んで、授業が終わったら北部の海岸だって言っています」


「わかった。とりあえずその刀は預ける。自分は指導に行く」


「わかりました」


 ハンゾーは背を向け、リングの方に向かっていった。


 精霊達はハンゾーの刀に何かしていたが、私はそのまま見学を再開していた。


 一人一人の動きを見ていると。


『どうだ、何か思う事はあるか?』


「ん~、ハンゾー先輩の動きって何?」


 気になるのはそこだった。剣や槍を持った相手に対して、瞬時に間合いに入って剣を取ったりしていた。しかも複数の相手でも無傷で対処しているのは、素直にすごいって思って見ていた。


『倭国に伝わる瞬歩と柔術だな。応用すれば剣や槍、杖なんかにも応用できるぞ。打撃系の技はなく、絞め技、関節技が多く基本的に受け身型だが、極めれば強いぞ』


 倭国ってどこにあるんだろうか?


「私にも出来る?」


『出来るだろうが、あいつの動きは身体能力とか鍛錬の賜だぞ』


『ラミナならいけるんちゃう?』


『そうですね、私も良いと思いますよ』


 身を守る術として教わっておきたいと思った。


『そうか?他には気になる事はあるか?』


「ん~」


 先輩方の動きを見ていると、剣や槍が主流といった中、双剣や棍や短剣等を使っている人がいた。


 ジョーイはハンゾーに狙いを定めた瞬間、間合いを一瞬で詰められて突き飛ばされていた。


「今のって縮地ってやつ?」


『いや、あれやただのダッシュだ』


 ダッシュ?

 さっき出てきた瞬歩とか縮地とは違ってダッシュ?


「ぇ?一瞬で詰め寄っていたよね?」


『体を鍛え、体の動きを覚えて強化すればあれくらいは出来るぞ』


「ぇ~?」


 どんなに鍛えてもあそこまで出来るとは思えなかった。


『ラミナの場合は瞬発力より持久力を活かすほうがええと思うで』


『ここからキラベルまで走っても問題ないくらいやからね』


『持久力を活かした武術か……戦い方になるが、走って逃げて、追いついて来た奴を叩くというのがあるが……』


『ラミナの場合はそのまま逃げ切れそうですね……』


『やな、そんなんなら、うちらが追ってくる奴やればええやん』


『それならラミナが武術を身につける意味が無くないか?』


 確かにグレンの言うとおりな気がした。


「ハンゾー先輩からも逃げ切れる?」


『どうやろ、縮地って相応の体力奪われるからな、ある程度距離があればなんとかなるんちゃう?』


『無理だろ、あの動きを見ている限り1キロ位は縮地で移動できそうだぞ……』


『ならハンゾーを迎え撃てる技術を身につければ良さそうですね』


 いやいやいや、アクアは何を言っているの!?


 指導中のハンゾーの動きを見ているけど、どうやっても勝てるビジョンが見えない……。


「とりあえず、ハンゾー先輩の武術に興味があるかも」


『それでは授業後、本人に師事してもらえるよう頼んでみては?』


 放課後本人に聞いてみよう。


「そうだね、ところで薩摩ってどこにあるの?」


『ここからずっと東のほうに行った所に島国があるんだ、その国名は倭国というのだが、その一部の地方が薩摩だな』


『ですね、倭国は、日の昇る国や神国等色々な呼ばれ方をしているんですよ』


『せやな、この世界で一番最初に1日が始まるとこなんやで』


「へぇ~」


 一度は先祖も行った国だし見てみたいかも。


『ここら辺とは全く違う文化だからな、新鮮だと思うぞ』


『ですね』


 その後は騎士科の授業見学をしながら先輩方の動きを見て過ごし、適当なところで切り上げて寮に戻りポーション作りをした。


「面白い」「続きが気になる」「応援する!」と思っていただけたら、


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