表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】神様と呼ばれた精霊医 ~その癒しは奇跡か、祝福か~   作者: 川原 源明
第3章 サバイバル学習 スペルン編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
36/411

第36話 精霊たちの手術会議

 サバイバル学習期間中に作ることができなかった薬作りを、ようやく始めた。材料を整え、湯を沸かし、香草を刻んでいると――。


 コンコンと、扉をノックする音が響いた。


「はーい」


 扉を開けると、ミアンとそのメイドのツキが立っていた。


「えっと……?」

「ラミナさん、私と一緒に学長室まで来ていただけませんか?」


 学長室、しかも呼び出し……となれば、思い当たるのは一つしかない。


「もしかして……遺跡に入ったことが問題に……?」

「いえ、そういうわけではありませんの。お爺さまがラミナさんにぜひお会いしたいと」


「お爺さんが……?」


 なぜ、ミアンのお爺さんが学園長室に? ――あれ、公爵じゃなかったっけ?


「いいけど、ちょっと今作ってる薬を仕上げるまで待ってもらえる?」

「えぇ、構いませんわ。終わりましたら、私の部屋までお越しくださいませ」


 そう言って、ミアンはツキと共に部屋へ戻っていった。私は手早く薬作りを終えると、改めてミアンの部屋を訪ねた。


 ノックするとすぐにツキが応対し、しばらくしてミアンも姿を現した。


「ごめん、待たせちゃった」

「いいえ、大丈夫ですわ。それでは参りましょうか」


 ミアンと私が並び、その後ろをツキが控える形で、三人で学園長室へと向かった。


 学園の廊下を歩きながら、ふと気になっていたことを口にする。


「ねぇ、ミアン。ミアンのお爺さんって……今、学園長なの?」

「そうですよ。お爺さまがここの学園長を務めておられますの」


 ――あれ、公爵ってミアンのおじいさんじゃなかったっけ?


「あれ? 公爵っていうのは……?」

「それは父ですの。お爺さまは先代の公爵で、現在は引退して学園長をされていますの」

「ああ、そうなんだ」


「この学園は、昔から“先代公爵が学長を務める”のが伝統になっておりますの」

「へぇ~、そんな決まりがあるんだ……」


 なるほど、代々そういう決まりがある家柄なら、学園との関係も深いのだろう。


 そんな会話をしていると――


『その辺も昔とは変わらんね』

『ですね』


 ミントとアクアが、懐かしそうに反応していた。


 そして、まん丸がふよふよと私の肩に寄ってくると、ひとこと。


『ねぇ、この子、魔素硬化症を発症しているよ~』


 たぶん、ミアンが公爵家の人間だとわかって、精霊たちが自然に身体の状態をチェックしたのだろう。

 彼女に何があるのか――私は、ふと胸がざわつくのを感じていた。



『知っとるで。それでラミナが、“腹切って患部を取り除けばええ”って言うとんねん』

『病気を治すのに、お腹を切るの~?』

『せやで。血がぶしゃ~って出るって言うてるのに、アクアの力でなんとかなるって思っとんねん』

『うわぁ~、生きたままお腹切るなんて、めっちゃ痛そうだよ~』

『せやろ~』

『……痛みを感じないように、麻痺させるの~?』


 その一言に、私はハッとした。確かにそれなら、暴れたりパニックになったりする心配も減るかもしれない。


『麻痺させて、それから眠らせればいいんじゃないの~?』

『お、それええな』


 まん丸の何気ない提案に、私は思わず感心した。


『さすがまん丸やな。うちらで思いつかんことを……』


 なるほど、意識があるままじゃ手術はリスクが高すぎる。でも、眠らせてしまえば――。


 気づけば、精霊たちの間でミアンの手術ミーティングが着々と進んでいた。しかもけっこう現実的な方向で。


『ひとつ課題がクリアできましたね』

『せやな。麻痺と眠りなら、うちの得意分野や』

『昔はね~、戦でケガした兵士の止血に、焼きごて使ってたって聞いたよ~』


 え……。

 それ、つまり傷口に焼きゴテで“ジュー”ってやるってこと……?


『うわぁ~、あかんあかん、それはさすがにあかんやろ……!』

『まあ私がどれだけできるかわかりませんが、必要ならその手段も視野に入れておきます』

『え!? ほんまにやるん!?』

『いえ、私ひとりで手が足りなければ……の話です』

『魔物で試したりはしてないの~?』


 あっ、確かに。

 ポーションで切除した部位がどうなるかとかは、魔物で実験してみる価値があるかもしれない。


『してません。まだあくまで構想段階なので……』

『そうなんだ~。リタができなかったこと、ラミナができるといいね~』

『ですね』

『……ほんまに、できるんかなぁ……?』


 まん丸とアクアは前向きだったけど、ミントだけはまだ迷いや不安を抱えているようだった。

 無理もない。人の命に関わることなんだ。精霊であっても、怖くないわけがない。


 そんな会話を聞いているうちに、目の前に重厚な扉が現れた。

 ――学長室に、着いたのだ。


「面白い」「続きが気になる」「応援する!」と思っていただけたら、


『☆☆☆☆☆』より評価.ブックマークをよろしくお願いします。


作者の励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ