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神様と呼ばれた精霊医 ~その癒しは奇跡か、祝福か~ 【原作完結済】  作者: 川原 源明
第19章 敵対する者達

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第335話 思わぬ仲間

 男たちが出て来た家の中に入ると、リンクル族の女性が縛られ猿轡さるぐつわをされていた。


 床に——


 倒れて——


 これだけだったらまだよかったが腹部から出血をしていた——


 血——


 赤い——


「エセリア!」


 エセリアがコクコク頷くと、淡く光り、女性の傷がふさがり出血が止まる。


 柔らかな——


 光——


 私は女性に駆け寄り、縛っているロープを見る。植物製かな?


「ミント、切れるこれ?」


 ナイフを出すより、植物製ならミントに頼めば早い——


『切れるで』


 ミントがそう答えると、女性を縛っていたロープが急速に風化していくかのようにボロボロになり朽ちていく。


 ボロボロと——


---


「大丈夫ですか?」


「あぁ……大丈夫さ、あんたは……、あぁ外にある治癒院の人かい」


 私の着ている制服を見て気づいたようだった——


「はい」


「あいつらは?」


「外にいると思いますよ」


「ふむ、とっちめないとね!」


 女性はそういうと、勢いよく外に飛び出していった。


 バタバタと——


「ん……、大丈夫かなぁ……」


『まぁ、彼女は被害者ですしね……』


 そりゃそうだ、手を出した以上何かされても文句言われる筋合いはないと思うけど、やりすぎだけは注意してもらえばいい気もする——


『せやけどなぁ、あの人なぁ……』


「ん?」


 ミントが言いよどむなんて珍しい——


『あのリンクル族のスキルなんだが……』


「なんだが……?」


 グレンまで?


『幻覚!』


---


「ん?」


 フゥの言っている意味は分かるけど、そんなに言いよどむ必要ある?


「なんで幻覚が問題なの?」


『分かりませんか?』


『幻覚というスキルはな、状態異常系でもかなり強いスキルなんだよ』


「うん?」


『術者が味わった痛みを与えるだけならまだしも、本来体験することのできない痛みを味わわせることも可能なんです』


「あれ?幻視、幻聴とかじゃなくて痛みを味わわせるならいいんじゃないの?」


 それなら身体は傷一つ負うことなく骨折みたいな痛みを知ることができるし、代償としては問題ない気がするんだけど——


『まぁ、奴の職業がな……』


『国の尋問官みたいだね~』


 まん丸の言葉を聞いて急に背中が冷たくなった気がした——


 ゾクッと——


「えっと……、拷問でもされるのかな……?」


『かもしれませんね……』


 自業自得だし——


 仕方ない仕方ない——


 何も聞かなかったし、何も見てない——


---


 私は、急いで外に出てみたが、女性は男たちに何かしているところだった。


 じっと——


『幻術かけられましたね』


『せやなぁ、しかも遅延式というか術者の思い通りに発動するタイプやん……』


「まぁ……、仕方ないよね……、それだけの事したんだし……」


 私がそういうと、私が見ていることに気づいたのか、リンクル族の女性がこっちを見た。


 鋭い——


 目——


「氷の枷はあんたの仕業かい?」


「そうですけど……」


「解放してやんな」


「だって……」


『わかりました』


 アクアが返事をすると、男たちの両足をつないでいた氷の枷が蒸発したように姿を消した。


 シュッと——


「ありがとね、あんたが噂の聖女さんかい?」


「ぇ?多分そうですけど……」


「そうかい、あたしはフューリー、メレス王国の法務官さ」


---


 尋問官じゃなくて法務官ときた——


「そうなんですね、どうして王都じゃなくてこちらに?」


「あぁ、簡単さここは私の実家だからね、娘が病に罹ったっていうから帰ってきたんだよ、まぁあんたらのおかげで命拾いしたみたいだけどねぇ」


「そうなんだ……、じゃあ王都に戻るんですか?」


「いんや、今は戻ってもねぇクロウの奴が自分が気に入らなければ悪にしてるからねぇ、私の仕事がないのさ」


 まてよ、この人にクロウを裁くのを手伝ってもらえばいいのでは——


 ひらめき——


「あの……、国王って……?」


「亡くなったさ、私はクロウの奴が怪しいと思うんだがねぇ、奴は厨房の連中の仕業として処理したんだよ」


「あの……、国王の殺害にクロウがかかわっているのを知ってるんですけど……」


「ほぉ、どういうことだい?」


 フューリーの目つきが鋭くなる——


 真剣——


「国王の体が受け付けない食べ物を食べさせたからだと……、使徒様から聞いています」


「ほぉ、それは魔力茸だね?」


 ちゃんと原因はつかんでいる。


「はい、多分の話をしてもいいですか?」


「あぁ、いいよ」


「11月に国王の護衛でグリーサに行ったんです」


「あぁ、あんときのSランクの子かい」


 私をどこかで見かけたのだろうか?


「はい、そうです」


「で、その時何かあったのかい?」


「はい、グリーサでの朝食会で、魔力茸が出てたんですが、その時メレス国王が発作を起こしたんです。その時はすぐに対処できたので一命をとりとめたのですが……」


「その時にクロウが居たんだね?」


「はい、その時どうして発作が起きたかを説明しましたが、原因となる食材については話しませんでした」


「なるほどねぇ、クロウがその朝食会で出された食材探り、発作を再現させ殺したと……」


「はい」


「面白い話を聞けたねぇ。ロスロイに帰って来て正解だったねぇ」


 フューリーの口元が——


 笑み——


「えっと……、この話を聞いてどうするんですか?」


「当然クロウを裁くさ、ただねぇ、協力者がいるんだろう?」


「わかるんですか?」


「あぁ、奴の判断力はよくないからね、だったら何者かが後押ししたんだろう?」


「ヤーハンって人です。確かヤーハン・ブラットレイだったっけ?」


「なるほどねぇ、王都の情報屋か……」


「知ってるんですか?」


「あぁ、知っているさ、王都じゃ知らぬものも居ない位の情報通だからねぇ、この手に関してはクロウの判断通り厨房がって言っていたが、そういうわけかい」


「どうするんですか……」


「クロウは簡単に掴まるだろうね、ただ国を相手にしなきゃならんのがねぇ、ヤーハンに至っては、ありとあらゆる情報を拾い上げているからねぇ、こちらの思惑はすぐに筒抜けだろうしねぇ、こっちも捕まえる前に逃げられそうだねぇ」


「それなら!私と一緒に王都に行きませんか?」


「ほぉ、王都に行く予定なのかい?」


「はい、第一王子と第二王子が実際に争っていないのに、仕立てていた二人を捕まえて後継者争いを終わらせないと!」


 じゃないと、私がメレス王国に来た意味がない——


「ほぉ、その話も初めて聞くねぇ、そういえば……」


「そういえば?」


「第二王子が国を捨てたって話があってねぇ」


「身に危険を感じて、ステルツィアにって聞いています」


「ほぉ、もしかしてなんだが、ロスロイの沖合や王都の沖合にいるステルツィア海軍はあんたの仕業かい?」


「そうですね、グリーサでの朝食会でメレス国王から直々に依頼を受けています」


「なるほどねぇ、あんたと話していて色々と繋がってきたよ、エリザベス王女が王都沖合の船に居るのは身を守るためだね?」


「多分……」


「ふむ、ならば王都ではあんたと行動しようか」


「ん?」


 まるで、王都までは一緒に行動しないって言っているような——


 疑問——


「一緒には……?」


「行けないねぇ、私らにも仲間が居るからねぇ、ヤーハンに感づかれずに行動できるやつらがね、そいつらと接触してから王都に行くさ、そうだねぇ、ヤーハンを捕まえるのは9月1日にしようかねぇ、当日王都手前にあるブロイの町で落ち合おうかねぇ」


「わかりました」


 今から3週間後、というか——


 精霊達が側に居るし、捕まえようと思えばいつでも捕まえられるけれど——


 でも、フューリーのやり方に任せた方がいいのかな?


読んでくれてありがとうございます!


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