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神様と呼ばれた精霊医 ~その癒しは奇跡か、祝福か~ 【原作完結済】  作者: 川原 源明
第18章 動き出す厄災、救国の聖女

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第331話 スラムの灯

 急ぎ臨時治癒院に戻ると、ヴィッシュとグレイブが話をしていた。


 二人——


「フッフッフ、久しぶりですねグレイブ先生」


「ふん、おまえもな」


「先生!」


「あぁ、ラミナ君おかえりなさい、ちょうどよかった。こちらの方々があなたに会いたいとね」


 まずは、私が何か言うよりは行くべき場所がある——


「わかってます」


 鞄からセレス農園に飛ぶ札を出した。


 サッと——


「ここに魔素を流してください」


「ん?何をする気だ?」


 グレイブはこの札の事を知らないのだろうか?


「グレイブ、大丈夫ですよ」


 ヴィッシュがそういうと、グレイブが札に手を添え、消えた。


 パッと——


---


 スラムから来た人たちの間で不穏な空気が漂い始めた。


 ざわざわ——


 どよめき——


「みなさんもここに魔素を流してください」


 恐る恐るとだが、一人、また一人と手を添え、札に魔素を流し姿を消す。


 次々と——


 そしてスラムの人達が姿を消すと——


「アーニャ君も行きますか?」


「はい、メーガンも一緒に行きましょう」


「はい」


 メーガン、アーニャ、ヴィッシュと姿を消すと——


「私も行こう」


 私が何か言う前に、スコルが手を添えて姿を消した。


 スッと——


「ん~……」


 スコルまで来るの?なんて思いながら私も札に魔素を流し、セレス農園に飛んだ。


 ふわりと——


---


 飛んだ先では、セレスがみんなの前で、農園の説明をしていた。


 広がる——


 畑——


「ここでは様々な作物を育ててます~!」


 スラムから飛んできたもの達の間でざわざわしている。


 驚き——


 困惑——


「ここでとれたものは、あそこで加工して、世界中の孤児院や働けない人たちの元に届けてもらってます~」


 それを聞いた一部の人達は「もしかしていつも食べているものは……」みたいな言葉が聞こえてくる。


 ざわめき——


 ここの説明はセレスに任せて、私はアーニャの元に寄った——


「アーニャさん」


「ん?どうしました?」


「アーニャさん、夕べ雰囲気の色って言ってましたよね」


「えぇ」


「あれって、その人の適正みたいなものってわかったりしないですか?」


「しますよ、濃い赤の人は、思い立ったら即行動する方です。赤の方は情熱型のリーダーなんかが向いていますし、オレンジ色の方は、人生を楽しみたいムードメーカーだったりと、9つのタイプに分けれますね」


「仕事の適正も?」


「えぇ、起業や立ち上げが向く方、人を動かすのが得意な方、接客や表現が得意な方等そういったものはわかりますよ」


---


「スラムの人達って何色が多いとか、こういう仕事がよさそうとかってあったりしますか?」


「そうですね~、リーダー気質の方は数えるほどしかいませんね、接客向きな方、研究系が得意な方、調整役が得意な方が多い気がしますね」


 個人的に、適正が分かったところで、どう生かすかだけど——


「んと……、パン屋とかはできる感じですかね?」


「えぇ、問題ないと思いますよ、接客向きな方も多いですし、研究系が得意な方は新しいお店を開くためのメニュー開発とか、そういうのをやらせてもいいと思いますよ」


「なるほど……」


 ならセレスのパン屋みたいな事をしても大丈夫と——


 スラム街の入り口付近にお店はダメだろうか?住処をロスロイの外にして、スラムを全体的に飲食店街にでもすれば——


 イメージが——


 膨らむ——


「ラミナ君、ここはどこのダンジョンですか?」


「ここはロシナティスです」


「あぁ、なるほど今噂になっている場所ですね」


「噂?」


「えぇ、働けなくなった者達や孤児院の子達がここで収穫を手伝ったりしているのでしょ?」


「あぁ、そうですそうです。そういった人たちのために力になりたいと思ったから」


---


「なるほど、この農園はどれくらいの広さがあるんですか?」


「ここはルマーン帝国がまるまる入る位の広さがあるって聞いています」


「それは広いですね、収穫の手伝いは常時必要と言ったところですかね?」


「多分そうだと思います」


「なるほど、ここで手伝える人は手伝ってもらうってことですね」


「はい、アーニャさんの話を聞いて、スラム街だった場所をここの作物を使った飲食店とかにって思ったんですけど……」


「フッフッフ、いいですねちょうどいい適任者がいますからね」


「適任者……?」


「えぇ、グレイブ先生ですよ、彼はアカデミーに在籍中から自分自身でお店を立ち上げ、二〇代で複数店舗を抱える経営者になりましたからね、後任を育て、自身は商業ギルドのギルドマスターとして二〇年以上活動、後進のためにとアカデミーの先生になったんですよ」


「ぇ……」


 驚き——


 思った以上にすごい人だった——


「すごい人だったんですね」


「えぇ、店舗運営なんかに関しては間違いなく天才といえるレベルです。それに彼を見てください」


---


 ヴィッシュに言われセレスの近くにいるグレイブを見て見ると、一つ一つの作物の出来をチェックしている。


 真剣な——


 眼差し——


「作物を細かくチェックしてる?」


「えぇ、彼のああいう状態の時は、商機があると感じているときです」


 さすがヴィッシュと言ったところなのだろうか?


 元生徒であり、元部下だからよく知っているという事だろうか?


「乗ってくれるという事ですか?」


「えぇ、十中八九この話に乗ると思いますよ」


 スラムの人達がセレスに色々質問し、セレスが丁寧に答えている。


 一つ一つ——


 優しく——


 セレスがOKを出したからか、実を捥いでそのまま口にし、「おいしい」とみんな口をそろえて言っている。


 笑顔——


 そして次に案内された場所は、農場の横にある倉庫のような建物だった。


 大きな——


---


「ここでは~、取れたものを加工してます~」


 個人的に加工場は初めて見るかも、そんなことを思いながら見ると——


 孤児院の子どもたちだったり、片腕の無い男、足のない女性だったりとが自分のできる事をして作業をしていた。


 それぞれが——


 役割を——


 お互いがお互いの出来ない事・欠点を補いあいながら自分自身の出来る事をしている——


 協力——


「これは、噂通りの場所ですね……」


 加工場の現状を見たヴィッシュが感心していた。


 しみじみと——


「そうですね、ロシナティスの話は聞いたことがありましたけど、実際に見てみると全然違いますね……、ここまでとは思っていなかったです」


 アーニャも感心しているようだった。


「ここの作物にステルツィアも夏助けられたんですよね」


 革命直後に寄付した麦の事だと思う。あの時は砦の立て直しと砦全部の部屋に小麦の詰まった木箱を詰め込んで帰った記憶がある——


---


「ここで、働けばここの作物は無料でもらえて、ロシナティスの商業ギルドから賃金が支給されるんです」


「なるほど、彼らにとってはちょうどいい場所かもしれませんね」


「でも、ロスロイには……」


「言ったでしょ、そのあたりはグレイブ先生が得意とするところのはずですよ」


「お財布を預けて大丈夫なんですかね……」


 不安——


「いいんじゃないですか?ついでに訪問治癒してくれている方たちの給料も彼にお願いしましょうか」


 本人のいないところで話が進んでいるけれどいいのかな——


「大丈夫なんですかね?」


「大丈夫です。彼もやる気が出てきているようですからね」


 というか、そんなすごい人が何でスラムに居たんだろう——


 疑問——


 私はそこが気になった——



 どうしてグレイブがスラムに——


読んでくれてありがとうございます!


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