第321話 癒しのひと時
解放軍の人達が去ってから、もやもやした気持ちを何とかすべく考えていると——
『ミーシャと遊ぼう!』
「ん~そうしようか~」
気分転換——
『バッグの中に、いいのがあるで』
「バッグの中?」
『レイクウィートですね』
『せやで、ちょっとしたご飯にもなるんよ』
「へぇ~」
マジックバッグに手を入れて、"レイクウィート"と念じると何かが手元に現れた。
手を出すと、一本の麦穂のようなものだったが、穂先の部分はふさふさのブラシのようなものだった。
柔らかい——
「ミャ!」
ミーシャの声——
「なにこれ……、初めて見る」
『そりゃそうやろ、生えてる場所もすくないんよ』
「へぇ、この辺りは?」
『ないない』
「そうなんだ」
『レイクウィートは川の流れにも耐えるくらい茎が丈夫なんですよ』
「あぁ、丈夫だから遊ぶのに向いてると」
ミントとアクアと話をしながらレイクウィートをくるくる回してみたり軽く振ってみたけど、ある程度しなってもすぐにまっすぐになる。
しなやか——
---
『ミーシャを見て見ろよ』
「ん」
私が動かしているレイクウィートの穂先に視線がくぎ付けになっているようで、その場から一歩も動かずに目で追っている。
じっと——
集中して——
「なるほど……、獲物って思われてる……」
『せやろ、丈夫でぴったりやろ』
「だね」
ちょっと遊んでみよう——
「ミーシャ捕まえてごらん!」
そう言って動かすと、すごい勢いで飛びついてきた。
バッと——
「あっぶな!」
間一髪ミーシャに捕らわれずに済んだものの室内で遊ぶものじゃない——
「ミーシャちょっと待って、外で遊ぼう」
「ミャ!」
『いったんバッグにしまったほうが良いですよ』
「うん」
バッグにレイクウィートを一度しまいミーシャと共に外にでた。
ハティとスコルも一緒に外に出ると、二人は入口の左右の壁にに寄りかかりこちらを見守っていた。
静かに——
---
入口から数m離れたところでレイクウィートを取り出すと、すぐにミーシャが臨戦態勢になった。
低く——
構えて——
どうやら大きく動かさなければ飛びついてこない様子——
「いっくよー!」
大きく動かすとすぐにミーシャが飛びついてくる。
ビュンと——
すぐに返すように動かすと。宙をすべるようにして反転し追いかけるミーシャ。
「面白いかも」
ミーシャは基本的に全力疾走ならぬ全力飛行をしているらしく、小回りが苦手な様子。毎回大きく膨らむようにして反転してくる。
可愛い——
ミーシャに掴まる直前で少し横にずらすと捕まえられないようで滑るようにして反転してくるのが見てて楽しい。
「ミャッ!」
悔しそうに——
上に円を描くようにレイクウィートを回すと、全力で飛び込んでくる、捕まえられず大きく滑るように遠ざかり反転してくる、再び全力で飛び込んでくる、捕まえられずに……、と延々と繰り返していた。
『ふふふ、狩の経験が少ないからでしょうかね』
『せやなぁ、完全に遊ばれとん』
『ま、狩の仕方を教える奴が居なければ仕方ないだろうな』
「ふむ……、ならば……」
精霊達の声を聴いていたのだろうか、スコルがなにやら動き始めた。
ゆっくりと——
---
「おいおまえ、ただ闇雲に突っ込むな」
スコルがミーシャにアドバイスするも、当のミーシャは私が持っているレイクウィートを夢中に追っている。
「聞いてないな……」
ハティが少し呆れたように言った。
「はぁ、ラミナ、いったんそいつをしまえ」
「はい」
回す勢いそのままに鞄にしまった。
サッと——
「ミャ?」
きょとん——
「お前は少し考えろ、やみくもに突っ込むな」
「ミャ……」
怒られていると思ったのだろうか、ミーシャの耳がペタンとなった。
しょんぼり——
「いいか、相手の動きをよく見ろ、動きを予測するんだ」
「ミャ~」
どういう気持ちなんだろうか?
「ラミナ、さっきのを貸せ」
スコルが私の方に寄ってきた。
「はい」
バッグから再びレイクウィートを出し、寄ってきたスコルに渡した。
「いいか、自然の獲物も同じだ……」
スコルがそういうと、真面目にミーシャに狩り講座を始めた。
私はさっきまでスコルが寄っかかっていた壁に寄っかかり二人を見ていた。
スコルは口頭で説明したり、レイクウィートを使って実践させたりしている。
「ハティさんと狩の練習してたんですよね?」
「あぁ、してたな」
「結構いっぱい捕まえてましたけど、ミーシャって狩は下手なんです?」
「そうだな、動いている相手は苦手と言っていいだろうな、多く捕まえたのは奴らが夜行性で日中はあまり動かないからだ」
「あぁ、なるほど……。あまり動かないから捕まえられたと……」
「そういうことだ」
スコルの教え方がいいのだろうか?
見ていてわかるくらいに、上達している。
少しずつ——
「スコルさんの教え方がいいのかな?」
「どうだろうな、実際見ていて無駄な動きはなくなってるな」
「そうなんだ……」
「あぁ、自分でもいろいろ試行錯誤してるようだからな」
「そうなんだ……」
『まぁ、本能で飛べるようになっていただけで、理想的な動きではなかったからな』
『そうだね!無駄な動きがいっぱいあったけど、スコルのアドバイスを受けて無駄な動きがなくなってきてるよね!』
『だね~、明日にはラミナが振り回してもすぐに掴まりそうだね~』
『ま、それが子供ってもんだろ』
『せやね』
---
しばらくの間、四苦八苦しているミーシャに癒されていると、ミーシャがこっちに飛んできた。
フワフワと——
「ん?」
「ミャ~」
疲れた顔——
「ふん、今日のところはこれで終わりか」
「お腹すいたようだな」
「んじゃご飯にしようか」
「ミャ♪」
嬉しそうに——
鞄の中に入っている、魔物の肉を出すと、ガツガツと勢いよく食べ始めた。
一通り食べ終わるのを見た後、ご褒美のゴールデン・ヴァインの実をマジックコンテナから出すと、すごくうれしそうに飛びついてきた。
「ミャ~♪」
キラキラした目——
今回は匂いだけではなく、実を食べていたが、半分もしないうちにぐったりと酔いつぶれていた。
ミーシャに癒されていると、ヴィッシュが連れて行ったと思われる九匹のキャットバット達が、ミーシャの食べ残しにワラワラと群がった。
「あれ……、という事は……」
研究所の方を見ると、ヴィッシュがこちらに向かって急いで走ってくる姿が見えた。
何かあったのかな?
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