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神様と呼ばれた精霊医 ~その癒しは奇跡か、祝福か~ 【原作完結済】  作者: 川原 源明
第18章 動き出す厄災、救国の聖女

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第320話 勧誘

 臨時治癒院前に人が集まっている。


 ざわざわと——


 何があったんだろうか?


 急患だろうか?


 足早に戻ると、人の姿をしたスコルが入り口前に立っていて、集まってきている人を入れまいとしていた。


 腕を組んで——


 威圧的に——


 私はスコルに足早で近づいた。


「何があったの?」


「解放軍のリーダーを助けろだと」


 スコルの目線の先にはぐったりとしたエルフの男が居た。


 見た感じ、男は意識はなさそうだけど、咳をしている。


 苦しそうに——


「あ、そうなんだ……、どうぞ……」


 漁村から略奪を働いた解放軍のリーダーか——


 少し気がすすまないけれども病人は病人だ——


 それに一緒に来ている数人咳をしている。


 ぐったりしている男を抱えている人に診察室まで運んでもらい、解放軍のリーダーという男を診察することにした。


 足の付け根脇の下にコブが見られなかった。


「あれ?」


『ラミナ、先ほどラーグのところで見ましたよね?』


「ん?」


『他人が咳をして吸い込む人を』


「あぁ、すると肺か~」


『そうです、彼は気管と肺に病原菌が居ますね、特に肺でかなり増殖しているようで』


「エセリア」


 私が声かけるとすぐにエセリアが淡くふわりと光った。


「どうだろう?」


『問題が一つ』


「うん?」


『肺の中の一部細胞が壊死しています』


「ぇ……、大丈夫なのかな……?」


 不安——


『分かりません、炎症自体は止まりましたので、壊死した部分が広がることはないとは思いますが、経過観察する必要があるかと』


「あんた、さっきから何を言ってるんだ?」


「あぁ、ごめんなさい、精霊さんと話をしていたので」


「ふぅ~ん、あんた精霊使いなのか」


「はい、それがなにか?」


「いや、あんたが噂のウォンバル様の側に居た子か?」


「ぇ?」


「いや、今国中でうわさになってるからな」


 アリアナ達が動いているからそうなっているのは知ってるけども——


「だから何なんでしょうか?」


「俺たちの仲間にならないか?」


「ならないです」


 私は間髪入れずにきっぱりと答えた。


「何故……、やはり王国軍の味方なのか……?」


「どちらの味方にもならないです。私がやるのは病の治療だけ、だからどちらの味方になる必要ないです」


 間違っても略奪するような集団には居たくない——


「そうか……」


「手を出してください」


「ん?」


 私はポケットに入れてあるケースから針を取り出し、男の指に刺した。


 チクッと——


「っ」


「エセリア」


 私が言うと、エセリアがふわりと淡く光る。


「これで大丈夫です。一緒に来た人達を一人一人ここに通してください、全員治療しちゃうので」


「あぁ……」


 男は返事すると、ぐったりしたリーダーと共に診察室をゆっくりと出て行った。


「ってか、思ったんだけど、肺なら指に針を刺さなくてもいけるよね?」


『えぇ、空気の通り道がありますからね、なのでこちらに来たお仲間達は浄化またはアクアクリーンの使い手が居れば治せるんですけどね……』


「まずは自分達のヒーラーを頼るって事をしないのかな……」


『ん~違うよ~多分ね~』


「ん?」


『ラミナと接触するための口実やろな』


『だな、治療の実力とどういった人間なのか直接見るためにって事だろ』


「試された……」


 もやもや——


『そういうものですよ』


 ん~あまりいい気分じゃないんだけどなぁ——


 その後一人一人チェックするも、針を刺す必要性なく、淡々と一人、また一人、エセリアが都度浄化で対応して終わった。


 帰り際に、「お代は?」と尋ねる事もなくさっさと帰っていった。



「なんだかなぁ~」


『あいつら最初から払う気なかったみたいだな』


『せやね、財布持っとるやつおらんかったもん』


 なんか、そういう人に無料治療だけはしたくないんだけど——


 むかつく——


『まぁ、実際に仲間になれば無料で治療してもらえるとでも思ったのでしょうね』


「必要なら我々で取り立ててこようか?」


 そう言って診察室に入ってきたのは、スコルとハティだった。


 二人とも怖い顔——


「いいよ、別に……」


 もやもやするけど、必要以上に関わりたくはない集団だ——


「そうか」


 自分の好き嫌いで治療費請求できたらなぁなんて思った時、リタが貴族に高額の治療費を吹っ掛けた事を思い出しなんとなくリタの気持ちが分かったような気がした。


読んでくれてありがとうございます!


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