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神様と呼ばれた精霊医 ~その癒しは奇跡か、祝福か~ 【原作完結済】  作者: 川原 源明
第18章 動き出す厄災、救国の聖女

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第316話 闇の始まり

 治癒院の側まで戻ってくると——


『見て見て!』


 フゥが空を指さしながら言った。


「ん?」


 フゥが指さした方向を見ると、雲一つない青空なのにもかかわらず、明らかにおかしな点があった。


 片方は完全な青空、片方は霞かかってるような空だった。


 ぼんやりと——


 白く濁っている——


「もしかして、火山から出たやつ?」


『うん!これから覆われていくよ!』


「これから濃くなるってことだよね?」


『うん!』


 ん~、リリアンの見た未来と現実どのような差が出てくるのだろうか?


 不安——


「そっか……」


 治癒院の中に入ろうとすると、ちょうど町の門の方からアリアナを含めた数名がこっちに向かっているところだった。


 何人かは仲間の肩を借りている状態だった。


 弱々しく——


 アリアナがこっちに駆け寄ってくると——

 

「こいつらを頼む」


「はい、あの空を……」


 私がそういうと、アリアナを含めた数名が同時に空を見上げた。


「なんだあれは……」


「リリアン様が言っていた事ですか」


 見上げた人が口々にこぼしていた。


 ざわざわと——


「なるほど、リリアンの言っていた闇が来たって事か」


「はい」


「そうか、とりあえずはこいつらを頼みたい」


「わかりました、中へ……」


---


 中に誘導する際に、アリアナが連れてきた一人一人見ていて思った。アリアナの仲間たちは、年齢も違えば性別も、種族も違っていた。


 様々——


 これが暗部と言われる人たちなのかな?


「まん丸、即席でいいからベンチとかベッドとか必要な家具を各部屋にお願い」


『は~い』


 建物のあちらこちらから音が聞こえる。


 ゴトゴトと——


「なにやってんだ?」


「ここの上の階にある、病室はただの部屋で家具がなかったので……」


「こいつらの中に入院する必要があるやつが居るのか?」


「ぇ、どうでしょう診てみないと……」


「そうか、さっそく頼む」


「じゃあ、一人こちらに」


 私が言うと、アリアナが一番重症と思われる女性に肩を貸し歩き始めた。


 ゆっくりと——


 慎重に——


---


 診察室に案内し、女性を診察する。


 足の付け根にコブがあるがそこまで大きくはない。


 体が熱い。


 火照っている——


「どんなことで困ってますか?」


「頭痛がひどいかな、寒気もするし、食べても吐いちゃうし、食欲もあまりないわね……」


 辛そう——


 なるほど、感染すると高熱に、そこからくる頭痛と悪寒かな?


 嘔吐と食欲不振が出てくるのか——


「最初に症状が出たのは何日くらい前ですか?」


「そうね、三日くらい前かしら?ちょっと身体がだるいなって思ったのがきっかけかな」


 症状が出て三日目で歩くのがつらくなると……。進行がかなり早い?


「ありがとうございます。手を借りていいですか?」


「はい……」


 女性はだるそうに手をだした。


 力なく——


「これから針を刺すので、ちょっと痛みますが我慢してください」


「はい」


 女性は、来るとわかっていたのか、おびえた様子を見せなかった。


 落ち着いている——


 針を取り出し、指先に刺すとエセリアが淡く光った。


 チクッと——


 ふわりと——


「これで大丈夫です。すぐに回復すると思いますのでこれを……」


 体力が落ちていると思うのでスタミナポーションを処方しておいた。


 瓶を手渡す——


---


 その後も、アリアナの仲間たちを診察した結果、感染すると、高熱、頭痛、悪寒、倦怠感・疲労感、食欲不振等が見られることが分かった。


 一人——


 また一人——


 症状を確認していく——


 アリアナが連れてきた全員を診察し終わると、他にも分かったことがある。


 全員の証言ではないが、ナノフリーに噛まれてから症状が出るまで三日程の猶予があることがわかった。


 潜伏期間——


 おそらく、ヴィッシュがこの証言の裏付けをしてくれると思っている。


 それから、彼らの知人の話にはなるが、症状が出てから一週間もしないうちに死に至る可能性が高いことも分かった。


 深刻——


 感染から十日位で死に至ると、それまでに対処すれば助かる——


 それならば、治癒院で待つ治療ではなく、各住居や職場を訪問治療したほうがいいような気がした。


 そう、待っていては間に合わない——


読んでくれてありがとうございます!


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