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神様と呼ばれた精霊医 ~その癒しは奇跡か、祝福か~ 【原作完結済】  作者: 川原 源明
第18章 動き出す厄災、救国の聖女

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第315話 ヴィッシュの覚悟

 外にある臨時の治癒院に戻ってくると、外にヴィッシュの姿があった。


 白衣——


 穏やかな表情——


「おや、ラミナ君おかえりなさい」


「ヴィッシュ先生ただいま」


「えっと、そちらの方は……?」


 ヴィッシュが私の背後にいるスコルを見て言った。


「スコルさんです。ウォンバル様の娘さんだそうです」


「これはこれは、初めまして、ヴィッシュと申します」


「スコルだ、あんたの話は聞いている。こいつの先代と共に医療を世界に広めた立役者だとな」


「それは光栄ですね」


 ヴィッシュが微笑む——


「あとスコルさんの弟のハティさんもいるのですが、戻ってきたら紹介します」


「えぇ、お願いします。それでこちらは何のために?」


 ヴィッシュが目の前の臨時治癒院を見て言った。


「えっと、最初は王国軍の人の治癒のためだったんですけど、町の人から隔離という意味でも町の外に治癒院になるものを建てました」


「なるほどいい判断ですね、あちらの施設は?」


 ヴィッシュがもう一つの建物の方を見る。


「来てください」


---


 ヴィッシュと共に、研究所用の建物へ移動し中に入った。


 ひんやりとした空気——


「はぁ、クレイジーラットですね、登れないように工夫してあるあたり繁殖場といったところですかね?」


「軍の食糧庫の木箱に二匹のクレイジーラットが居たので研究用にと思いました」


「なるほど、ちゃんと菌の宿主を確保したわけですか、ありがとうございます」


「あと、ロスロイの町の中ですでに亡くなっている人とか見たのですが、アクアから……」


 この後、アクアから聞いた防衛隊が菌を食べ、防衛隊の体内で増殖、防衛隊を乗っ取り正常な細胞を攻撃したり、病原菌を血液の方に流したりする。そして病原菌が増殖すると魔素硬化症と同等の症状がでる。という事を伝えた。


 ヴィッシュは,真剣な表情で聞いていた。


「なるほど……、ラミナ君の言う防衛隊は白血球、砦はリンパ節の事ですね」


「そうなんですか?」


「えぇ、私たちはそう呼んでいます。その話を聞く限り自身の治癒能力でどうにかできる病ではないと」


「はい、アクアもそういっていました」


「そうですか、では、私が行った漁村の方の話ですが、すでに手遅れでした。ラミナ君の言うように足の付け根に大きなコブがあり、血流阻害による壊死している死体が多くみられましたね、そして村に居たすべて者が亡くなっていました」


 重い空気——


「そうなんだ……、というか、解剖したんですか?」


「えぇ、当然ですよ。そしてキャットバット達はクレイジーラット狩に大活躍していましたね」


「そういえば、キャットバットは感染しないって」


「やはりそうでしたか、私も感染していない気がしていましたよ」


 ヴィッシュはそういうと、キャットバット達が入ったカバンを見ていた。


 優しい目——


---


「さて、これからどうする予定ですか?」


「えっと、このあとアリアナさんの友人の調子が良くないとのことで、先にその人たちの対応をしようかと思っています」


「なるほど、わかりました。それではあなたは、その対応をしてください」


「えっと先生は?」


「そうですね、クレイジーラットが持っている菌を見てみようと思います。それから……」


「それから?」


「アクア君、私は感染してますか?」


『えぇ、感染していますね』


「感染しているって」


「そうですか、では今日の朝ナノフリーに噛まれました。このあと症状が出るまでの潜伏期間を調べるため私に浄化やアクアクリーンは使用しないでください」


「ぇ?」


 驚き——


「身をもって調べるのが私達のやり方でしたからね」


 私達のやり方——


「もしかして、リタも?」


「えぇ」


『こいつも変わらんのな』


『ふっふふ、リタのやり方を今も守り続けているなんてヴィッシュらしいですね』


「えっと、症状が出たらすぐに対処しますよね?」


「えぇ、その時はお願いします。それから、アリアナ君のご友人の対応が終わったら、付き合ってもらいたい場所があります。なので終わったら声かけてください」


 付き合ってもらいたい場所ってどこだろう?


 気になる——


「わかりました」


「では、治癒院の方へ戻ってください、私はここで研究するとしましょう」


「わかりました」


 私は、アリアナの友人たちの治療のために治癒院へ戻った。


 足早に——


 急ぐ——


読んでくれてありがとうございます!


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