第314話 ロスロイの街中
次に行くべきは治癒院だと思い、治癒院に行こうと、ふと振り返ると——
背後にアリアナが変装したリクという男が居た。
「何があった?」
リクという男のしゃべり方ではなく、アリアナ本人のしゃべり方だった。
「あ、えっと、死体置き場?でまだ生きている人の治療と、死体を燃やしました」
「そうか、先ほど騒ぎになった狼は?」
私は辺りを見渡すと、狼としてのスコルの姿はなく、アリアナの近くに人の姿となったスコルがこっちを見ていた。
じっと——
「あそこにいる女性がそうです」
私が指をさすと、アリアナがスコルを見る。
「何か?」
スコルがアリアナに向けていう。
「いや……」
アリアナがすぐに私に視線を戻し、小声で言った。
ひそひそと——
「神獣の類か?」
「はい、ウォンバル様の娘さんだそうです」
「そうか、この後どうする予定だ?」
「治癒院に行って様子見てから町の外に建てた臨時の治癒院に戻ります」
「やはりおまえのか、具合が悪い奴を外の治癒院に誘導すればいいか?」
「そうですね、あとほとんどの人が感染しているようなので、アリアナさんの仲間の人達からでもやりましょうか?」
「たすかる、友人が一人あまりよくない状態だからな」
心配そうな表情を見せた。
「あっ、それなら先に外の治癒院に帰ります」
「わかった。治癒院には何で行く予定だった?」
「様子見でしたけど、現状はわかってたり?」
「あぁ一応な、知りたいか?」
「はい」
「風邪かしらんが、咳をしている奴らが多くいる。それからお前がやっている治療を施しているからすぐに回復しているらしいが、今日は数人同じような症状に戻り治療を受けたそうだ」
『おそらく早い段階で感染して、治療を受けたものの、再度ナノフリーに噛まれて再発したんでしょうね』
「ん~治療して、ナノフリーに噛まれて再発だって」
「やっぱりか」
『ラミナ、アリアナに言ってやれ、尻尾にナノフリーがいる』
「ぇ」
『私が凍らせておきますよ』
「どうした?」
「あ、いえ、グレンが尻尾にナノフリーがいるって、そしたらアクアが凍らせたみたいで」
「む」
リクが、尻尾を振り回すと、小さな氷の塊が床に落ちた。
カランと——
音を立てて——
「……、これで大丈夫か?」
『大丈夫ですよ』
「大丈夫だって」
「そうか感謝する。それじゃあ友人を連れて行くから待ってってくれ」
「はい」
リクは私の返事を聞くと、すぐに町の方へ走っていった。
バタバタと足音が遠ざかる——
---
すると今度は、スコルがこっちに来た。
「戻るのか?」
「はい」
「そうか」
スコルはすぐさま狼の姿になりしゃがんでくれた。
「ありがとうございます」
「うむ」
返事をするとすぐに走り始めた。
港に来る時とは違い、建物の屋根に上り、屋根の上をぴょんぴょんと跳ねるように移動し始めた。
軽やかに風を切って——
「そういえば、ハティ達ってどこで狩の練習してるんですかね?」
「ん?この町でクレイジーラット狩してるぞ、見ていくか?」
「ぇ?」
突然進路を変えたと思ったらすぐに止まった。
ピタッと——
「ほれ、あそこを見てみろ」
屋根の上からだけど、スコルの目線の先には、路地裏に人の姿となったハティとミーシャが居た。
ハティの手には大きな革袋があり結構膨らんでいる。
パンパンに——
「もしかして、結構な数のクレイジーラットを?」
「あぁ、野外にいる連中だけらしいがな」
「家屋の中は怒られるからやらないと」
「あぁ、それからキャットバットは感染しないらしいぞ」
「あ、そうなんだ」
意外——
「ミーシャがナノフリーに何度か噛まれているらしいが感染していないようだからな」
「そうなんだ、じゃあ存分に狩してもらえばよさそうだね」
「そうだな、それじゃあ行くぞ」
再び外の治癒院に向かって走り出した。
風が、ビュンビュンと——
景色が流れていく——
すぐに城壁が見え、そのまま飛び越えた——
そして、すぐに臨時治癒院が見えてきた——
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